■ネットの拡散を呼ぶ「仕掛け」に草なぎ剛も協力

 リアルロボットの作品かと思いきやスーパーロボットが活躍するアニメだった……というミスリードの仕掛けは、大張監督の発案によるものだという。初回放送では、アニメ本編放送後に流れる『エンドカード』と呼ばれるイラストを元SMAP草なぎ剛(49)が提供するというサプライズでも視聴者を驚かせた。

「往年のアニメソングのような主題歌『ババーンと推参!バーンブレイバーン』もインパクトが強いですが、放送直後にはサブスク配信されていて、カラオケにもすぐ入ったんです。話題になることをにらんで事前にしっかり仕込んでいたことがうかがえます」(前出の氷川氏)

 初回から入念な「仕掛け」が施されていたことで、「よくわからないヘンなアニメが始まった」という話題が増幅。ネットの拡散が評判を呼んで、話題作となったのだ。

 そんな本作の魅力は、安易な理解を拒む「わからなさ」にあるという。

「視聴者が“こういうロボットアニメだろう”と既成の枠に当てはめようとしたとたん、すぐにその斜め上を行く。そんな展開の読めなさ、びっくり箱的な面白さがこのアニメにはあるんですよ。知らない世界に連れていってくれるそんな仕掛けは、原作のないオリジナル作品だからこそできること」(前同)

 先の読めないストーリー展開ゆえに、物語がどう進んでいくのか視聴者は予想もつかない。だからこそ「毎週の視聴が楽しみになるのでは」と氷川氏は指摘する。

「最近、倍速視聴だとか、検索エンジンでオチを先に知ってしまうといった話がよく取りざたされています。そういう人たちは“早くわかった気になりたい”のでしょう。でも、この作品には安易にストーリーをわからせまいとする意志が感じられます」(同)

 ゆえに昨年放送されるや大きな話題を呼び、一大ブームを巻き起こしたTBSのドラマ『VIVANT』と同じく、視聴者間では考察ブームも起こっている。

「SNSを中心に、ブレイバーンの正体はあの人物ではないか? などの推理や今後の展開を予想する声が飛び交っていますが、海外でもネット掲示板やYouTubeなどで同様に考察班が盛り上がってるんです。

 ストーリーが“わからない”からこそ、いろんな読み解き方をする人が現れる。かつての『新世紀エヴァンゲリオン』もそうだったでしょう。あれはどうだ、これはどうだと議論を交わすこともアニメの楽しさ。そうなれば放送後にも視聴者はワイワイ盛り上がれるわけです。

 そして『ブレイバーン』の最高にいいところは、そういうことを気にしなくても、主題歌はかっこいいしロボットアクションは気持ちいいこと。だから、新規ユーザーを拒絶していないんです。大張監督のキャリアだとか、ロボットアニメの歴史的文脈とかを知ったうえで観る面白さもありますが、そういう情報を知らない人でも楽しめる作品だと思います」(同)

『新世紀エヴァンゲリオン』といえば、テレビシリーズの衝撃的な最終回が話題となり、劇場版が製作されたことで社会現象ともなる爆発的人気が生まれた。『勇気爆発バーンブレイバーン』も人気爆発となるだろうか。

氷川竜介
アニメ・特撮研究家。認定NPO法人アニメ特撮アーカイブ機構(ATAC)副理事長。明治大学大学院特任教授(4月より)。文化庁メディア芸術祭アニメーション部門審査委員などを歴任。主な編著書に『20年目のザンボット3』(太田出版)、『細田守の世界――希望と奇跡を生むアニメーション』(祥伝社)、『安彦良和アニメーション原画集「機動戦士ガンダム」』(角川書店)、『日本アニメの革新 歴史の転換点となった変化の構造分析』(KADOKAWA)など。