オレンジ色の看板を目印に、24時間営業のトレーニングジムなどを各地で展開する「ティップネス」。そんな同社が、3月1日から従業員の身だしなみに関するルールを刷新。多様性や個性を尊重するとして、同社で働く従業員の髪色・ネイル・アクセサリーなどについて自由度を高めると発表した。
同社が2024年に掲げるのは、「HAPPY TIPNESS!」のメッセージ。利用者が笑顔でHAPPYになるためのサービス提供や環境づくりに取り組むことをモットーにするという。そうした場所である以上は、現場で働く従業員たちも「1人ひとりが個性を発揮し、より自由に自分らしさを表現することで、生き生きと魅力的でいてほしい」という願いを込め、今回、身だしなみに関する社内ルールの見直しに至ったそうだ。
最近、話題となる“多様性”。この言葉がキーワードとなり、身だしなみに関する社内ルールを緩和する動きが企業間で続出しているという。
全国紙経済部記者が語る。
「22年3月には、大手ディスカウントストアのドン・キホーテが店舗従業員の髪色を自由にすると決定。翌23年2月からは、国内のグループ会社の管理部門でも髪色の自由化に踏み切りました。
ファミリーレストランのガストやジョナサンを運営するすかいらーくホールディングスも、23年8月でアルバイトとした働くスタッフの髪色に関するルールを撤廃しています。背景には、自分らしい服装で働いてもらうことで、従業員のやる気を促し、労働意欲向上につなげようという狙いがあるようです」
職場で働くスタッフの服装や見た目に関するルールの緩和が広がる昨今。そんな時代の変化に歩調をあわせるかのように今回、従業員の身だしなみルールを見直したティップネス。従業員の髪型・髪色・ヒゲ・メイク・ネイル・香水も自由、アクセサリーもプールエリアおよびキッズレッスン時以外着用OKだとしている。
そんな同社が以前まで職場内で定めていたルールはどのようなものだったのか。また、髪色やアクセサリー類の着用自由を掲げるが、具体的にどこまでが許容範囲なのか。同社の藤井人事部長に話を聞いた。
藤井さんによれば、これまで同社が定めていた身だしなみルールは、
「髪型……肩にかかる長さの場合まとめる」「髪色……明度は、暗い色から明るい色にかけて4番〜15番までの12段階ある"カラーリングレベルスケール”(日本ヘアカラー協会作成)のうち、5番~7番の範囲まで」「ヒゲ……NG」「メイク……派手すぎないナチュラルメイク」「ネイル……肌なじみの良いナチュラルな色」
と、かなり厳格。「利用者に不快感を感じさせないこと」を従業員の身だしなみルールの大前提としていた同社では、アクセサリー類についても結婚指輪以外の着用は認めていなかったという。