■ルール変更の「基準」となるのは?
今後、従業員の身だしなみルールを刷新したティップネスでは、それらが「自由」になるというが、“なんでもOK”になるのだろうか。
「まず、髪色やメイク、ネイルなどを変えても接客品質を下げないことが大前提。あくまでも安全・衛生上問題がなく、お客様へと威圧感がない範囲としています。“どこまでか”についてはいずれも基本的に本人の判断に委ねますが、へそピアスに代表されるようなボディピアスのみ、“(威圧感を与えかねないことから)お客様から見えないこと”が着用の条件です」(前出の藤井さん)
従業員の身だしなみ自由化といえど、ジムを利用する人に不快感を与えないことが大前提になるという。髪色は明るさの“範囲”指定がなくなり、人によって好みが分かれ、時と場合にとっては周囲から”香害”との指摘を受けかねない香水の使用も自由になるが、先に細かいルールは設けないのが同社の基本的姿勢なのだという。
まずは本人の判断に任せ、利用者から指摘があった場合には「責任者が建設的な対話を通じて従業員の身だしなみをジムに沿ったものへとしていく」(前同)という。
ちなみにタトゥーに関してはどうかというと、まだ周囲へと威圧感を与えてしまう可能性もあることから、ルール変更前も後も基本的に不可とのこと。ただし、若者を中心にファッションタトゥーが一般的になってきている時流も鑑み、隠せる範囲の小さなタトゥーは“お客様から見えないこと”を条件にOKとしており、フィットネス業界団体とも連携しながら、今後の検討テーマとする意向だという。
スタッフや利用者の反応はどうか。
「ポジティブな反応です。従業員同士で”次の髪色どうしよう””ネイルをしたかったので嬉しい”などというやり取りがあると聞いています。お客様からも、ピンク系のヘアカラーをした女性スタッフに”似合ってるわね”とお声がけいただき、従業員の働き甲斐にもつながっているようです」(同)
多様性を認めることで、人材確保へとつながる可能性もある今回の施策。同社よりも先に従業員の身だしなみ自由化に踏み切ったドン・キホーテでは、従業員のモチベーションが上がったという声やアルバイトの応募が増えるなど、ポジティブな効果があったという。ティップネスの取り組みはまだまだ始まったばかり。スタッフの服装自由化は、ジムの利用者に受け入れられるのだろうか。