■トンネル内のつらら落としも手作業で……

 線路上の重要部分であるポイント部分の除雪作業以外にも、手作業で行なわれる除雪作業はあるという。走行中の列車は大量の雪を舞い上げながら線路上を走ることから、車両の台車周りの機器に大量の雪が付着する。これらが走行中に落下すると、線路の破損などにも繋がりかねないという。そのため、車両に付着した雪を融かす融雪作業なども定期的に人力で行なわれているそうだ。

「トンネル内では周辺の地層から浸み出してきた水が凍り、つららや氷もできます。つららは走行する列車に接触すれば運転席などの窓ガラスを破損させ運行に支障をきたす恐れもあり、非常に危険。トンネル内のつらら落としなども手作業です」(前出のJR北海道広報部担当者)

 担当者によれば、これら一連の作業は「冬の北海道で安全運転を行なう上でごく一部にすぎない」とのこと。

「JR北海道では、厳しい冬に備えて普段から相応の対応をしています。しかし、年に数回の雪の日に備え、首都圏の環境で何十億もの予算をかけて雪への準備を進めるのは難しいのではないでしょうか。道民から見たらわずかばかりの雪でも、日ごろから準備をしていない首都圏では大混乱が起こるのも致し方なしといったところでしょう」(前同)

 1センチの積雪で右往左往する東京の人の姿を“空騒ぎ”と見る北海道民も少なくないかもしれない。しかし、雪国で交通網の安心・安全が守られている裏側には膨大な数の人員と予算が割かれているのだ。