■地方都市でタワーマンションが建設されるワケ
地方都市・旭川で建設されたマンションが高価格でも売れる理由を、『実践不動産学教科書』(東洋経済新報社)などの著書がある不動産コンサルタントの森島義博氏が話す。
「駅近で再開発とくればタワーマンションを建設するのが不動産デベロッパーの間では一大ブームなんです。その理由は売れるから。
旭川駅周辺は新しい物件がないですし、坪単価も高くない。最新設備を揃えたマンションであれば高くても買うという人は出るでしょう。また、大都市圏である札幌まで列車で1時間半。この時間を長いと感じるか短いと感じるかは人それぞれですが、そこに魅力を感じている人もいるのでは」(森島氏)
今後も、地方都市におけるマンション再開発の流れは続くと森島氏は話す。
「不動産価格の高騰が叫ばれる東京でさえ、上海に比べればマンション価格は半分ほど。NYに比べれば3〜4割程度の価格です。治安も良く経済も安定している日本の不動産がこれだけ安いとなれば、中国人に限らず、アメリカ人やドイツ人、フランス人といった海外の投資家も購入に動きます。
東京でマンションを建てられる土地は限られてきています。一方、地方で交通網が発達した地域にはまだ土地がある。デベロッパーによる再開発の対象となってくるのでしょう」
東京で発生しているマンション価格の高騰。この影響は今後、地方にも及ぶのか。
「労働人口が減る以上、建築費が下がることはないでしょう。また、日本経済が安定している以上、土地の値段も安くはならない。今の高いマンション価格が下がることはまずないのでは。旭川のタワーマンション最上階に3億5000万円という値段が付いていることからも明らかなように、地方にまでその影響は及んでいますよ」(前同)
東京で発生したマンション価格の急騰。今後、各地に広がりそうだ。
森島義博
不動産鑑定士。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、三菱信託銀行入社。一貫して不動産業務に携わり2011年三菱UFJ信託銀行を定年退職。不動産戦略アドバイザーとして活躍中