■楽しめない歓迎会の捨てるべき「先入観」と「押さえたいポイント」

 以前は、前出のyuuu氏自身も「大嫌いだった」という歓迎会。大前提として「会食や歓迎会を“楽しまなくてはならない”もの」という先入観は捨てたほうがいいと断言。そのうえで、「一見、面倒で避けたい会食や歓迎会こそ、ビジネス上の人間関係の打開策になる」と言う。

「もともと楽しめない人が無理やり会食を楽しめるようになる方法はない、と思っていい。本音を言うと、こんな本を執筆した自分ですら、会食や歓迎会を心から楽しいと思って取り組んではいません。必要なのは、“こういった嫌がる人がいる雑務を頑張ることにこそ、千載一遇のビジネスチャンスが転がっている”という気持ちです」(前同)

 それではなぜ会食が「ビジネスチャンス」につながる可能性があるのか、yuuu氏が解説する。

「会食や飲み会では、仕事以外の部分でどれだけ頑張っているか、言い換えると“苦手なことやしんどいことに立ち向かう胆力”を見られています。そういった仕事外の所作も含めて、その人への信頼感につながっていくんです。

 人が他人を値踏みするときや誰かに仕事を任せるときの観点は、仕事上のパフォーマンスだけではなく、そういった胆力もあるんですよね。そう考えると、会食や歓迎会への出席は人間関係がうまくいかない人の生存戦略であり、“自分がやりたい仕事にたどり着くための通行手形”なんです」(同)

 気の持ちようを変えると、会食も意味があるものに思えてくるというわけだ。これからのシーズンに始まる歓迎会において、必ず押さえたいポイントは「自己開示」と「お礼」だ。

「そもそも歓迎会を開催する側の目的は、円滑なチームビルディングと、新メンバーに早く組織へと馴染んでもらって育成をすること。それを踏まえると、参加する側としては”どれだけ自分の情報を相手に開示できるか”が重要です。入社理由や趣味など、ちょっとした自分の考え方の軸を伝えておくことで、その後の業務も人間関係もスムーズになることでしょう」(同)

 yuuu氏いわく、「お礼を伝えるまでが歓迎会」。幹事に対して、その場ではもちろん、翌日にもひとことお礼を言うことを推奨する。

「正直、古臭い文化かもしれません。でも、お礼を言われた側は嬉しいものです。さらには名前を覚えてもらえるチャンスにもなります」(同)

 このように、表層的なマナーに見えるものの裏には、実は大事な本質が潜んでいる。歓迎会などの飲み会が完全になくならないのは、そういった場での振る舞いで、人が他人を記憶に留める生き物だからでもありそうだ。