■子どもにも「ゼリー飲料」がウケる理由

 ビジネスパーソンに限らず、子ども市場でも人気のゼリー飲料。自身も7歳、5歳、2歳と3児の子育て中である森崎さんは、「私のまわりでも、保育園の帰りに飲むようにとゼリー飲料を持たせる親はすごく多い」とゼリー飲料人気の実感を話す。では、多種多様なおやつの中で、なぜ「ゼリー飲料」が保護者から選ばれるのか。

「水って、物を飲みこむための嚥下(えんげ)機能が低い子どもやお年寄りはなかなか飲み込めないんです。とろみをつけることで、そうした人でも喉越しよく摂取できるというメリットがゼリー飲料にはあります。味がついているので、その分、おいしさも感じられますしね。

 さらにゼリー飲料はパウチ型でリキャップできるため、かばんの中でもかさばらず、飲み切らなくてよいのも親にとっては便利です。子どもって、何か口にしていても、すぐに飽きてしまいますから」(前出の森崎さん)

 今をときめく、藤井八冠が飲んでいたのは『inゼリー ブドウ糖』。集中時には欠かせない栄養として注目を集める「ブドウ糖」だが、森崎さんは「普通の人が日常的に摂るのはあまりおすすめしない」と語る。

「ゼリー飲料に含まれるブドウ糖は炭水化物の中でも吸収しやすい形なので、血糖値がバッと上がるんですね。でも、急激に上がった血糖値はその後、一気に下がります。そうすると、やはり身体への負担が大きくなるわけです。ここ一番、集中したいというときはいいと思いますが……」(前同)

 どんなゼリー飲料でも、あくまで補助食品。「日常的に摂取するもの」ではないと言う。

「具合が悪いとか食欲がない日に、ゼリー飲料なら飲めるという場合はあるでしょう。食事と食事の間の栄養サポートとしてもいいと思います。ただ、やはり栄養は食事から。ちゃんと食べ物を噛んで摂取するのが基本だということを忘れずに。ゼリー飲料を日常生活に取り入れるなら上手にバランスを考えたいですね」(同)

 不足気味の栄養摂取はもちろん、口寂しいとき、食欲がないときにも活躍するゼリー飲料。大人も子どもも忙しい時代、世代を超えて、ますますその需要を広げていきそうだ。

森崎友紀
1979年生まれ。大阪府出身。大学を卒業後、私立病院や小学校の管理栄養士、料理教室講師などを務める。
その後、料理研究家として独立。レシピ制作、料理番組の企画・出演を手がける傍ら、タレントとしてもテレビ・ラジオ番組に出演、またモデルとしても活動。
現在は、株式会社UNITY MAGENTA代表を務め、トークショーや料理教室などのイベント活動、講演会、美容と健康に関するサイト運営、企業レシピの提案、メニュー開発などを行っている。