■千鳥の「一強」の理由――ライバル不在
現在、テレビ各局は世帯視聴率ではなく、13~49歳の個人視聴率であるコア視聴率を重視するようになっている。
「テレビ全体の影響力が低下し、現在は、商品購買力が強い若い層の数字であるコア視聴率を取れない番組には、CMがなかなか入らなくなったんです。そのため、各局は世帯視聴率からコア視聴率重視にシフトし、制作陣もコア視聴率を取れる内容に寄せるようになっていった。そうなるとつまり、若年層の数字、コア視聴率が取れないタレントや芸人は“価値がない”となってしまった。
結果的に、実力、腕があっても、ベテラン勢が排除されることになったんです。ベテランの時点で、若年層にはなかなか見てもらえませんからね。
千鳥の2人も44歳と中堅ではありますが、見た目含めてまだまだ若い。もちろん、彼らの面白さは言うまでもないですよね。また数年前まではまだギャラも高くはなく、多くの番組で重宝された。結果、露出がどんどん増えて、皆が知る国民的なタレントになっていったんです。そうして彼らは、コア時代の申し子と言える存在になりました」(前出の民放キー局関係者)
千鳥が「一強」となったもう1つの理由――それは、ライバルがいないことだという。
「お笑い界のトップに君臨するダウンタウンさんは60歳とかなり上の世代です。また、第一線で活躍中のくりぃむしちゅー、バナナマンは50代、有吉弘行さん(49)も今年で50歳ですから、千鳥はその下の世代になる。
後輩としては、千鳥を追う存在としてかまいたち、霜降り明星、ハライチなどの名前が挙がりますが、かまいたちは一緒に番組をやるモロの後輩だし、霜降りとハライチは30代で千鳥とは重ならない。同世代にライバルがいないというのが大きく、“千鳥しかいない”となり仕事が殺到。結果、大争奪戦になっているのではないでしょうか」(前同)
そんな千鳥をさらに重用しようとしているのが、やはり日本テレビのようだ。
「大晦日の大型特番『絶対に笑ってはいけないシリーズ』がコロナ禍でできなくなってしまいましたからね。昨年の大晦日、ダウンタウンの松本さんと浜田雅功さん(60)が還暦を迎えたタイミングでのグランドフィナーレを予定していたと言われていますが、最終的には諸々の調整がつかず、制作できなかった。
そして今、日テレは『笑ってはいけないシリーズ』のように絶対的に支持される大晦日特番を求めていて、それを千鳥に任せたいという意向があるようなんです」(同)
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2021年以降、日本テレビでは大晦日に『笑って年越したい!!笑う大晦日』、『笑って年越し!世代対決 昭和芸人vs平成・令和芸人』、『笑って年越し!THE 笑晦日』を放送してきたが、『笑ってはいけない』のような高視聴率は取れていない。
『NHK紅白歌合戦』の裏番組では、2020年まで『笑ってはいけないシリーズ』が11年連続で民放トップの世帯視聴率だったものの、2021年以降は3年連続でテレビ朝日の『ザワつく!大晦日』に後塵を拝している。
「松本さんは文春との裁判のために芸能活動を休止。『ガキの使いやあらへんで!』のメンバーも高齢になってきていますし、長丁場の『笑ってはいけないシリーズ』を続けるのは体力的にも厳しい。現実的には、もう新作の制作は難しいと見られています。そうした状況下で日テレは、ダウンタウンさんがけん引してきた大晦日特番を千鳥に任せたい、ということですよね。
まだ今後の話で、今年どうこうではないのかもしれませんが、将来的には日テレから2人にオファーがいく可能性は高いと言われていますね。千鳥の大晦日特番が放送されるようになれば、バラエティ界はいよいよ、本格的な『千鳥時代』へと突入していくのではないでしょうか」(同)
令和のお笑い界を制するのは千鳥――ということになるのだろうか。