■1週目にして大ヒットの予感

尾野真千子(42)のナレーションをうまく使っています。普通なら状況説明に使うところを、大胆に寅子の気持ちまで代弁。賢い寅子が声高に不満を述べると、攻撃的に感じてしまいますが、尾野の抑揚の効いたナレーションで代弁することで、寅子のカドが取れるんです」(ドラマライター/ヤマカワ)

 さらに、結婚、将来の進路など、従来の朝ドラなら山場に持ってくるテーマを、早くも初週で見せてきた。これも、ひとつ間違えれば重い雰囲気になりそうなところを、テンポよくコミカルな演技で見せ、うまく盛り上げていた。伊藤ら演者と演出の勝利といえるだろう。

「通常、1週めはヒロインの幼少期を入れるんですが、それをせず、男女問題というテーマをしっかりと描き切りました。これで視聴率が良いということは、物語全体を気に入ってもらえたということ。今後、簡単に視聴者は離れないでしょうから、好調な数字は最後まで続くはず。近年にないヒット作になる可能性も高いです」(前同)

 女性が自分たちの道を切り開くため、法律を学んでいくというテーマ、街かどの物言わぬモブの女性にまで世界観を持たせる演出など、明らかに今までにない朝ドラを目指している『虎に翼』。初週は上々の出来だったが、第2週「女三人寄ればかしましい?」にも期待したい。