■「鼻を温めるのも効果的」

 花粉症のこの時期、症状に悩む人々が気をつけたいのは、鼻のかみ方だけではないという。鼻水が出るときにやりがちな、鼻をすするという行為にも注意が必要だという。

「鼻をすするのはやめたほうが良いですね。鼻水をすすった結果、鼻の中に鼻水が溜まり、これまた中耳炎などの原因になりやすい。花粉症でつらくても、鼻はすすらずに通りをよくしておくべきなのです」(前出の木村医師)

 しかし、それでも鼻は詰まるもの。もちろん、病院で処方される飲み薬や点鼻薬も効果は期待できるが、点鼻薬には使用上の注意点もあるという。

「市販の鼻詰まり用の点鼻薬には、頻回に使いすぎると逆に鼻の粘膜が腫れて鼻が詰まってくるものもあります。一時的に鼻が通るとしても、使い過ぎはNGです」(前同)

 ほかに何か対策はあるのだろうか。

「睡眠時には副交感神経といって体を休める神経が働くため、鼻粘膜の血管が緩んで粘膜が腫れやすいのです。そのため夜になると鼻が詰まりやすくなります。また、寝た姿勢では鼻の位置が低くなるので鬱血しやすく、鼻は詰まりやすい。クッションや枕を使って少し頭を高くするのも1つの手です」(同)

 しかし、「いざ睡眠」というタイミングで頭を高くするのも大変。そんなときに役立つのは、マラソン選手などが試合中に鼻へと貼りつけ、呼吸を楽にする鼻孔拡張テープの存在だ。

「皆さんに必ず効果があるわけではないですが、もともと鼻の通り道が狭い人は、テープを貼ることで外鼻が外側に引き上げられ、鼻内に隙間ができ、息がしやすくなる人もいます」(同)

 また、「鼻を温めるのも効果的」と木村医師は話す。

「鼻を温めると血行が促進され、鼻水や鼻詰まりの症状が改善することもあります。手軽な方法としては、蒸しタオルの活用が1つの手。タオルを水で濡らして絞り、ラップに包んで電子レンジに入れて30秒温めれば、蒸しタオルは完成です。これを鼻の付け根に乗せれば、鼻詰まりが改善されることもありますよ」(同)

 まだまだ続く花粉症シーズン。症状に四苦八苦している方は、上記ほか、さまざまな対策法を試して、自分にあった方法を見つけていただきたい。

木村聡子 
医師、医学博士
日本耳鼻咽喉科学会認定専門医/日本アレルギー学会専門医