■「名もなき正義の暴走」がますます深刻化

「前者の一件は《過剰な配慮》が求められるようになった世相を象徴的にあらわしていると思います。一方、後者の一件からは、以前から言われている“名もなき正義の暴走”がますます深刻化していることが見て取れますし、行き過ぎたバッシングや特定行為には《配慮の欠如》が顕著です。都合よく配慮を求め、都合よく配慮を棚上げするというダブルスタンダードが進行しているように思えてなりません。

 また、2つの炎上の内容や程度は異なりますが、共通しているのは、これまで普通の生活を送っていた人間が一夜にしてまるで罪人のような扱いを受けていること。ともすれば、デジタルタトゥーとしてネット上にずっと刻まれてしまうことになります。

 いつ自分がその立場になるかわからないからこそ、この投稿は誰かを傷つけることにならないか、そして“批判”と“誹謗中傷”の区別がしっかりつけられているか、投稿する前に一度冷静になって考えてみてほしいですね」(前出の夕刊紙デスク)

《日本人まじで余裕無いんだなと心底思うわ》というあるユーザーの一言に、全てが集約されているように思える2つのネット炎上事件。不寛容さばかりがきわだってしまっている――。