■”界隈消費”とは Z世代の消費行動もキーワードは”界隈”
注目を増す「界隈」という言葉。近年では”界隈消費”が企業マーケティングを行なう上で、1つのキーワードにもなっているそうだ。
“界隈消費”とは、Z世代に特化したマーケティングチーム『SHIBUYA109 lab.』が提唱した考えだという。趣味やカルチャーなど、共通の好きなもの・関心事を持つ人同士によるコミュニティである“界隈”ごとにトレンドは異なるが、ひとつの界隈で高い熱量で支持されたトレンドが他の界隈にも伝播するというZ世代の消費行動を表したものだ。
「界隈は、“他界隈”といった言葉が象徴的なように、界隈の中のことか外のことかで区別を付ける傾向があり、内輪の団結感が強い。そのため界隈内で流行るものやオススメされるものは、その界隈に属する人にとっては、一般的なマスメディアからの情報と比べて信頼ができ、リアリティがあるんです」(前出の原田氏)
この内輪の団結感が、Z世代にとっては重要なのだという。
「“私たちしか知らない”という特別感も演出されます。そして、ひとりの人が複数の界隈に属していることは一般的なので、そういう人のクチコミを介して別の界隈にも広がる。Z世代は恋愛や就職に限らず、消費も“失敗したくない”傾向があると言われますが、共通の趣味や価値観を有する界隈内からの情報なら信頼できるし、界隈内で楽しむというところに特別感を持てるのでしょう」(前同)
分析・分類が好きなZ世代にとって「#〇〇界隈」という自己紹介はもはや当たり前なのかも。
原田曜平
慶應義塾大学商学部卒業後、広告業界で各種マーケティング業務を経験し、2022年4月より芝浦工業大学・教授に就任。専門は日本や世界の若者の消費・メディア行動研究及びマーケティング全般。 2013年「さとり世代」、2014年「マイルドヤンキー」、2021年「Z世代」がユーキャン新語・流行語大賞にノミネート。「伊達マスク」という言葉の生みの親でもあり、様々な流行語を作り出している。主な著書に「寡欲都市TOKYO 若者の地方移住と新しい地方創生(角川新書)」「Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?(光文社新書)」など。