■鈴木亮平「お隣の韓国に20年くらい差を開けられちゃった」

 前出の制作会社関係者は続ける。

「今後は『セクシー田中さん』のようなことが起きないように、制作過程は大きく変化していくのででしょうが、これまでは、やはり局の都合が一番だった。

“俳優の都合”や“スポンサー企業への配慮”、“予算・スケジュール面”、もちろん“ドラマとして分かりやすく”というものもあったでしょうが、原作者の同意を取らず進められたものは多数あるでしょう。それは、東村さんの発言からも明らかですよね。

 そして、そこから感じられるのは、日本のドラマにおいて、脚本のプライオリティ、優先順位が低いことですよね。局の都合や予算、出演俳優のスケジュールなどの方が優先されてしまうと。

 一方、ハリウッドや、世界中で多くのファンがいる韓国ドラマは、まずは脚本ありき、ということですね」

※画像は飯田和孝プロデューサーの公式X『@KAZUTAC』より

 ハリウッドのやり方を学び、急成長を遂げ、今や世界で高く評価される韓国ドラマ。それに対して、日本のドラマは国内に向けて作られ続けてきた。日本のトップ俳優である鈴木亮平(41)は、3月31日放送の『だれかtoなかい』(フジテレビ系)で、日本の現状を「海外に、たとえばお隣の韓国に20年くらい差を開けられちゃった」と表現している。

「世界のドラマ制作では、出演俳優が誰かというよりも、とにかく面白い脚本を作ることが第一になっている。それを日本国内でようやく本格的に着手したのが、今回の日曜劇場『アンチヒーロー』ということではないでしょうか。

 日本も人口減少が進み、国内の市場はどんどん小さくなっています。同時に、配信の登場で世界の作品が見られるようになった。ドラマ好きは配信で世界のドラマを楽しんでいて、わざわざつまらない日本の地上波のドラマを見る必要はなくなった。かつてと比べて、連ドラの視聴率が大きく下がっていますが、それは、環境的に仕方のないことですよね。

『アンチヒーロー』は各話放送後にNetflixで順次配信されていますが、“ハリウッド方式”で作られている同作が意識するところは、日本の他のドラマや、ましてや同時間帯にやっているバラエティ番組ではなく、世界のドラマコンテンツ、ということになるのではないでしょうか」(前同)

 2020年にプロトタイプの企画が作られ、4年越しにドラマ化されたという『アンチヒーロー』。同作が日本のドラマ制作に与える影響は、どのようなものなのか――。