■“ハリウッド方式”で『アンチヒーロー』の脚本はできている

 4月22日、飯田プロデューサーはX(旧ツイッター)で《最初に70ページほどの全話のアウトライン》を作っていて、すでに最終話までの脚本も完成していると明かしている。

「1人の脚本家が全話を書くのではなく、4人の脚本家がみんなで1つのエピソードを書き上げる、という“ハリウッド方式”のやり方です。『アンチヒーロー』の第1・2話は4人の名前がしっかりクレジットされていましたね。

 第3~5話は担当制で、そこからはまた全員で練って、脚本を作ったそうです。さらに、最終話の脚本を受けて、第1話の脚本にセリフを追加したことも明かしています。とにかく脚本が重要、ドラマは脚本ありき、ということが伝わってきます。このやり方は、映像業界ではハリウッドからも高く評価される韓国でも行なわれていますね」(制作会社関係者)

※画像は『セクシー田中さん』の公式X『(@ntv_tanakasan』より

『海月姫』や『東京タラレバ娘』など実写ドラマ化作品も多い漫画家の東村アキコ氏(48)は『東京新聞』(4月6日)のインタビューに、漫画『私のことを憶えていますか』が韓国で実写ドラマ化されることになった際のエピソードを話している。

 東村氏は、韓国から原作を読みこんだ脚本家が4人やって来て、4時間缶詰めにされて質問攻めにあったと明かしている。セリフ1行1行について背景を質問され、途中、東村氏が任せる意向を見せると、《先生そんなんじゃ駄目です。先生の世界観、思いをしっかり反映したいんです》と原作へのリスペクトあふれる熱い思いを示されたという。

 同インタビューは、芦原妃名子さん(享年50)の漫画作品『セクシー田中さん』(小学館)の実写ドラマ化(日本テレビ系/23年10月期)を巡る、望まぬ原作改変の末の不幸を受けてのもの。当初、東村氏には《自分が何を言っても脚本は、テレビ向けに変えられてしまうという諦めもあった》というが、前述の韓国の制作陣との経験を経て考えが変化したという。

 東村氏は、同じインタビューで、韓国では出演俳優や配信媒体を決めるより先に、4話分の脚本を先に作るということも話している。

「『セクシー田中さん』問題を受け、日テレも改善に動いています。特別調査を行ない、『セクシー田中さん』以外も、過去に放送された漫画原作のドラマ作品の関係者からヒアリングをしていることを明らかにしています」(前同)