■見せないことのメリット・デメリット
「本作は“逆転パラドックス”とうたっているのですが、明墨(長谷川)は正義なのか悪なのか、あえてスタンスが明らかにされていません。これはほかの登場人物も同様で、緋山(岩田)の事件でも、彼のバックボーンや犯行現場を意図的に見せていないんです。視聴者の間でとまどいの声があがるのも当然かもしれません」(ドラマライター/ヤマカワ)
X上では、《もし緋山の回想シーンなんかがあれば、明確に判断できたと思う。だけど、そういった視聴者に親切な「分かりやすさ」はこのドラマでは省いているような気がする》という声がある。たしかに、見せないことによって、視聴者に想像の余地を持たせているからこそ、ここまで考察が盛り上がっているのだろう。
「巧妙な演出ですが、ヤリすぎるとわかりにくさにつながるので、メリット・デメリットはあるでしょう。どこかで明墨は正義のために動いていることをはっきりさせないと、視聴者が離れる可能性があります。もちろん、どこかで明墨のスタンスは明らかになるのでしょうが、このまま引っ張るようだと……『VIVANT』超えは難しいかもしれません」(前同)
日曜の夜9時という時間帯もあり、日曜劇場のファンは保守的な傾向にある。ずっとあいまいなままでは、視聴者に嫌われる可能性がありそうだ。
ただ、本作のプロデューサー・飯田和孝氏は自身のXアカウントで、脚本について、2話はまだキャラクターの紹介のような序章で、3話からが本作の真骨頂になっていくとポストしている。絶妙な脚本と演出、俳優陣の好演で懸念を吹き飛ばしてくれるのか、今後の展開に期待したい。