■原作では救助隊員が殉職する無常さも描いていた

 悪天候で長時間ヘリを飛ばせなかったこと、ドラマ版と違い、山本(ドラマ版の佐竹)は遭難者の女性(ドラマ版の前田)と違う場所に落下していることから、晴原らは捜索を断念。短時間だけヘリを飛ばすことで遭難者は救えたが、山本を捜索する時間はなく、彼を救助することはできなかった――原作はドラマ版以上に、雪山の残酷さ、救助する側の葛藤、遺族の無念などを色濃く描く内容なのだ。

 Xではその展開を知っているファンから、

《原作とだいぶ違うな綺麗事にしすぎ》
《また原作必要なくなっちゃったwこれだけ原作改変するならオリジナルでやれよ。生き死にすら変えちゃうんか》
《原作では助けられなかった命、助けられるのか…》

 といった、不満を訴える声も寄せられている。

「原作漫画の方がシビアな現実を描いている感がありますが、地上波テレビで、しかもドラマの序盤に、いきなり“救えなかった”という重い結末――原作通りだと地上波ドラマとしては残酷すぎる、となったのかもしれません。そこで若手隊員が恩師である先輩の命を救う、成長物語のような感じに再構成されたのかもしれませんね。

 賛否両論の原作改変ですが、Xでは漫画公式アカウントと原作者がドラマと原作は違う、というのを強調しているように感じられるところもあります」(前同)

 原作漫画のXアカウントは第2話放送後、ドラマ第1・2話の原作エピソードを添えて《ドラマとはまた違った、こちらも是非よろしくお願いします》(5月1日)とポスト。

 原作者の小沢氏はそれを受けて、《雪山編打ち合わせの時のホワイトボード》の画像4枚をポストしている。こちらでは、ドラマ版と大きく異なる人物設定などが確認できる。要救助者の性別や職業が異なっているのだ。

※画像は小沢かな氏の公式X『@kana_ozawa_blue』より

「Xを見ても分かりますが、『ブルーモーメント』の原作サイドとドラマ制作サイドの関係は決して悪くなく、良好な感じです。原作漫画とドラマは内容は違うが、どちらも楽しんでほしいということではないでしょうか。

 そして『ブルーモーメント』は、山下さんの代表作『コード・ブルー‐ドクターヘリ緊急救命‐』シリーズ(フジテレビ系/08年7月~)や、鈴木亮平さん(41)主演の『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS系/21年7月期)に似た雰囲気がありますが、2作品とも人命救助に関するハッピーエンドでは終わらないシナリオもあった。『ブルーモーメント』はまだ序章。今後はそういった厳しいドラマも描かれるのかもしれませんね」(前同)

 原作とは異なるが、レスキューを描くドラマとして多くの視聴者から好評を集める『ブルーモーメント』。今後のストーリー展開に注目が集まる。