■GW「10分サザエさん」で現場は混乱

 フジテレビでは、4月29日から5月3日まで『ゴールデン「サザエさん」ウィーク傑作選』と題し、18時50分から19時まで過去のエピソードを1話ずつ放送した。

「フジ上層部が“GWに『サザエさん』をやろう”と提案し、放送が決定したといいますね。昨今はどこの会社も自社のコンテンツやレガシーを大切にしていこう、となっていますが、フジではそれが『サザエさん』だったということのようです。

 たしかにその考えは理解できますよね。日テレでは『名探偵コナン』が通常放送でもそうですし、『金曜ロードショー』で劇場版を放送すればとんでもない視聴率を取りますからね。

 フジもそういった流れで『サザエさん』を放送することになったようですが、テレビ各局は今、コア視聴率、つまり若者の個人視聴率を重視していますよね。『サザエさん』は国民的なアニメで、多くの人に愛されている作品ですが、若者向けのコンテンツでは決してない。若い層の視聴者がGW期間中の19時前に、『サザエさん』を見るためにフジにチャンネルを合わせるかというと、それは考えにくいですよね。

 案の定、数字はよくなかったといいますし、そもそもこの時間に『サザエさん』が放送されていたことを知らない人も少なくなかったのではないでしょうか」(前出の制作会社関係者)

※画像は「アンク@金曜ロードショー公式」の公式X(ツイッター)『@kinro_ntv』より

『サザエさん』といえば、毎週日曜日の夕方6時30分から放送されているものとして日本国民の生活に根付いている。

「内容は昭和を描いていますし、基本的にシニア層が好きな作品ですよね。GW期間中に10分だけ18時50分から編成したところで“誰が見るんだ”、と局内からも指摘する声が出ていたといいます。

『イット!』の放送時間を削っての放送でしたが、たかが10分といえども番組内部はかなり混乱したといいますね。ずっと同じタイムスケジュールで番組を制作してきたにもかかわらず、急遽5日間だけ10分短縮する必要があるわけですからね。日々、取り扱うネタが変わるニュース番組なら、なおさらキツいでしょう。

 迷走が指摘されてしまっているフジですが、GW中の『サザエさん』がその代表例だと言われていますね……」(前同)

 80年代から90年代前半にかけて「楽しくなければテレビじゃない」のフレーズで隆盛を誇ったフジテレビ。1982年から1993年まで12年連続で視聴率3冠王を達成したこともあった。しかし、今やテレビ東京にも後塵を拝す状況に。

 まさに正念場を迎えていると言えそうな同局だが、まだまだ優秀なテレビマンは多くいるはず。その底力を今こそ見せてもらいたい――。