■ファンを夢中にさせた今回導入の「デジタル化」
「至近距離」でのステージ演出や「ファン参加型」の体験型イベント以外にもKCONを訪れたファンを夢中にさせたのは、今回のKCONで大きな変化として導入された「デジタル化」だ。
観客は新しくローンチされたKCON公式アプリ「PlusCON」を通じて、施設ガイドであるコンベンションマップを活用したリアルタイムの通知や、イベント現場の運行状況などを自身のスマホで確認できた。
また、公式YouTubeチャンネルでは、「DANCE」をテーマにしたコンテンツを披露する「DANCE ALL DAY」や「レッドカーペット」の様子が続々と配信され会場に来られなかった国内外のファンを楽しませた。各イベントはスマホでの撮影が許可されており、アーティストの姿がリアルタイムでSNSに投稿され瞬時に世界中に拡散されていったのも画期的だった。
音楽以外の楽しみ方も豊富にラインナップされていた。今年のKCONは昨年より3時間延長して午前10時から午後9時まで運営し音楽、フード、ビューティー、コスメ、ファッションまでを網羅した104社278か所のブースが設営された。フードコーナーや休憩スペースを昨年より2倍以上に拡大したことで会場全体にもゆとりが。
ヤシジャン(韓国の夜市場)をコンセプトにした「フードラウンジ」は韓国の餅料理トッポッキや韓国の太巻きであるキンパなどポピュラーな韓国料理を楽しむ人々で大賑わい。韓国の食品メーカーbibigo(ビビゴ)のトレーラーハウスにはインスタグラムのフォローを条件に餃子などを無料配布したことで大勢の観客が行列を作った。
また、コスメへの関心も高く韓国を代表するビューティープラットフォーム企業OLIVE YOUNG(オリーブヤング)のブースには多くのファンが訪れ、コスメ商品を手に取っていた。その中の1人である20代の女性は「K-POPや韓国の食べ物、コスメなどがたくさんそろっていてあっという間に時間が過ぎました」と話していた。
イベントを主催したCJ ENMのシン・ヒョングァン音楽コンテンツ事業本部長は、
「グローバル音楽市場2位の日本で初めてスタジアム開催を通じて大型化したフェスティバルを披露しました。アーティストのグローバル進出を支援し、K-POP産業の成長のためにK-POP代表フェスティバルとしてさらに成長するでしょう」
と手ごたえを語った。「Coachella」に匹敵していくような世界的なK-POPの祭典として、ファンの記憶に残る大イベントとなったようだ。
KCON
2012年の米国・アーバインを皮切りに世界各地で開催。音楽コンテンツを中心に韓国の文化全般を網羅するフェスティバルモデルを提示し、韓流の拡散に先駆的な役割を果たしてきた。12年間にわたりアジア、中東、欧州、米国など13の地域で開催してきたKCONのオフライン累積観客数は183万人余りに達している。今年3月には初の香港開催を通じて中華圏まで拡大。香港、日本に続き、7月には「KCON LA 2024」を開催する。