円安の影響もあり右肩上がりに訪日外国人観光客の数が増える日本。現に2024年3月と4月に日本を訪れた外国人観光客の数は300万人台と、コロナ前となる19年7月に記録した299万1100人を超え、月別では過去最高を更新している。そんな中、今、外国人の間で熱い視線を注がれている“和食”が、日本人のソウルフードである「おむすび」だ。

 トレンドライターがおむすびの海外での人気ぶりを話す。

「国内で51店舗を展開する『おむすび権兵衛』は17年、パリの中心部にあるパレ・ロワイヤル庭園の向かいに店舗を出店。23年には2店舗目もオープン。1つおよそ3ユーロ(日本円で510円ほど)と、おむすびにしては高価格ですが、ヘルシーで手軽な点が現地でも大人気。

 コロナ禍でパリもレストランが大量一時休業。その間にテイクアウト需要が増え、目新しいおむすびに注目が集まり“セ・ボン”(美味しい)と話題になった。現在では1日600個ほど売れているようで、店内も大盛況だといいます」

 そんなおむすびは、訪日外国人をもトリコにしているという。

「高級ホテルでは、コンシェルジュにおむすびのテイクアウトを注文する外国人宿泊客の方も少なくないと聞きます。中には、店舗名を指定しておむすびの購入をお願いしてくる人もいるそうです」(前同)

 海外でも注目を浴びるおむすび。そんななか、昨年6月から“おにぎりワークショップ”のサービスを訪日外国人へと向けて始めたのは、1782年創業の東京・新橋の佃煮店『新橋玉木屋』である。

 外国人の旅行者を相手に、店頭で流暢な英語を使って説明を行なうのは、『新橋玉木屋』の小貫桂子さんだ。弊サイトは、来店する外国人観光客がおむすびのどのような点に興味を持っているのかを小貫さんに聞いた。

「外国人観光客の方の中でも、おむすびに興味を持つのは、お米文化のあるアジア地域の方はもちろんですが、比較的ヨーロッパからの旅行者の方が多い印象です。理由としては、ヨーロッパの方々は長い歴史のあるものに興味があるからでしょうか」(『新橋玉木屋』の小貫さん)

 実際、『玉木屋』に242年の歴史があることを知ると、関心を持つ外国人旅行者も多いという。

「佃煮は昔から同じ製造方法で作っていて、食品添加物も使用していない。それにもかかわらず、2〜3か月ほど賞味期限があるという点にも驚きを感じているそうですよ」(前同)

200年以上の歴史を持つ『新橋玉木屋』の佃煮 撮影/編集部