■外国人も興味を示す「おにぎりとおむすび」の違い
また、歴史的には“おにぎり”と“おむすび”は異なるそうで、その点にも外国人来店客は強く関心を示すという。さまざまな説はあるが、
「日本人にとって、国民食であるお米。これを富士山を模した三角形に握った物をおむすびと呼びます。神道では、自然界のさまざまな物に精神的な性質があると捉えていますよね。諸説ありますが、おむすびには自然界のさまざまな物に宿る性質を結びつけるという意味があるとも言われているんです。一方、おにぎりの形には三角形などの制約はない。俵形やハート型、四角形など、なんでもありなのがおにぎりです」(前出の『新橋玉木屋』の小貫さん)
来店客の多くは海外のコンビニなどでおにぎりを知り、自身の手で三角形のおむすびを握ってみたいと思い、店舗へ足を運ぶという。
「1つ100グラムほどのお米を使って、おむすび作りに挑戦してもらいます。外国人の方に人気の具材は『生姜まぐろ』の佃煮や『うなぎ山椒』のふりかけ。自分たちの食生活でも見かける食材はトライしやすいようですね」(前同)
生で食べる機会は少ないがまぐろ、そしてうなぎはヨーロッパでも食されている。一方で、外国人にはあまり馴染みのない食材もあるという。
「海苔とか、昆布は日常生活で食べなれていない。また、黒い食べ物に対して恐怖心を感じる方もいるようです」(同)
ワークショップを体験した人から、どのような意見が伝えられるのだろうか。
「コンビニなどで購入したおにぎりとは違って自分で作ったおむすびは、人肌で握った物ですので、お米の粒が立っていて全体的にふわふわとした柔らかさがある。食べやすいと評判です。また、自分で三角形のおにぎりを作るという点にも、工作と同じような面白さを感じているようです」(同)
今夏オリンピックが開催されるフランスでは、焼き鮭や梅干しといった定番商品から、アボカドやムール貝を具材に使用した変わり種おむすびまで、現在おむすびが一大ブーム。寿司、天ぷらに続いて、今度はおむすびが世界の食卓を席捲するか。