■経済効果は田中将大、ダルビッシュの倍以上となる理由

 日本国内で注目を集め続ける大谷選手だが、国内での経済効果はさほど大きくないとのこと。一方、大谷バブルの影響が強く発揮されそうなのがアメリカの地だという。

「一番大きいのはスポンサー契約料です。大谷選手が個人で契約する場合もあれば、ドジャースと折半するというケースもあるでしょう。

 たとえばですが、CMに大谷選手がドジャースのユニフォームを着用して出演した場合、出演料金の中から数%がドジャースへと渡るという可能性だってある。アメリカ国内でプレーしているため、大谷選手の給料はドルで支払われますし、そのお金は現地で消費される。大谷選手の経済効果はアメリカのほうが大きい理由です」(前出の宮本名誉教授)

 また、大谷選手が持つ女性人気から発生した経済効果もあるという。

イチローさん(50)や松井秀喜さん(49)と違い、大谷選手は女性用化粧品の広告にも起用されています。このことからも分かるように、従来は野球に興味がなかったであろうファン層も掘り起こしました」

 つまりは、大谷選手のファンとなった女性たちがドジャースグッズを購入すればそれは経済効果となるだろう。また、大谷選手を起用した化粧品メーカーの商品の売れ行きが大幅アップとなれば、それも経済効果と呼べるのかもしれない。

 今季はケガで投げることはできないが、昨季まで投打の二刀流で活躍してきた大谷選手。ファン層も男女の二刀流、経済効果も2倍というわけだ。現に、過去メジャーリーグでプレーしたどの選手よりも、大谷選手によって生み出された経済効果のほうが大きいという。

「マー君こと田中将大選手(35)やダルビッシュ選手(37)の経済効果は200億〜300億円ほど。大谷選手の経済効果は倍以上です。これは投手だけではなく、打者としても出場するというのも関係しています。今季の大谷選手は打者としての出場のみですが、現地に行けば試合には出ていますから必ず観戦できる。1週間に1回しか出場しない投手と打者では、スタジアムで観戦する日本人の数にも差が出ますし、大きな経済効果が期待できるのです」(同)

 今後、大谷選手の活躍が続けば、さらなる経済効果が期待できると宮本名誉教授は話す。

「エンゼルス時代と違い、今季の大谷選手は強力ドジャース打線で2番打者としてプレーしています。年間の打席数も過去に比べて増えるでしょう。すると、ホームランを打つ本数も増える可能性が高い。過去のデータをもとにすると、12打席に1本塁打。50本の大台に到達、再度ホームラン王に輝くかもしれない。

 打率は現在リーグ1位。三冠王だってありえます。すると、テレビ番組などで大谷選手が扱われる回数も増え、番組の視聴率もグンっと伸び得る。ワイドショーやスポーツニュースのテレビCMの広告料も上がり、さらなる経済効果を生むでしょう」(同)

 想像の遥か上を行く活躍を見せる大谷選手。その市場価値は天井知らずなのかも。

宮本勝浩
1945年1月12日生。日本の経済学者、大阪府立大学名誉教授、関西大学名誉教授。専門分野は、理論経済学、経済効果分析。大阪府立大学副学長、元財務省財政制度等審議会臨時委員などを歴任。和歌山県和歌山市出身。