■とんかつチェーン店「キャベツおかわり自由」サービスの行方

『千房』のように全国に店舗を広げるチェーン店ともなれば、原材料を仕入れる農家と年間契約をしているため、市場の価格や数量の影響を即座に受けるということはないようだ。とはいえ、前出の『千房』商品企画担当者は、「市場でのキャベツ値上がりというニュースは気になりますよ。やはり自分たちの商品に直結する原材料ですから」と気が気ではない様子。「もし仕入れるキャベツが1個1000円といったスーパーの価格になってしまうと、お好み焼きの店頭価格にも大幅に影響が出ますしね」と注視する。

 それでは、食べ放題のキャベツサービスが売りでもあるとんかつ店チェーンはどうか。

 1966年創業、国内外に約520店を展開するとんかつ店のトップブランド『とんかつ新宿さぼてん』を運営する株式会社グリーンハウスの担当者は、店の人気を支えるサービスといってもいい“キャベツおかわり無料”について「現時点でサービスをやめる予定はない」と話す。また1958年創業、国内に約240店舗・海外に14店舗がある『とんかつ和幸』も“キャベツおかわり自由”のサービスは継続中だ。

「全国展開する大規模チェーン店ともなると、年間を通して使用する野菜などが不作となる状況は少なからず織り込み済み。仕入れ量も多いので、年間に仕入れる数量や価格は決まっています。突然の不作が起きたとしても、いきなり店頭での商品販売価格に影響することはないのがほとんどです。

 原材料費高騰などの影響をダイレクトに受けてしまうのは個人経営や、小規模なお店がほとんどでしょう。ただ、もちろん、今後さらに不作となってくるとチェーン店といえど話が変わってくるでしょう」(前出の全国紙経済部記者)

 さて、このキャベツの高騰、いつ終わるのか。

「農水省が示した見解によれば、群馬県など高冷地産のキャベツが市場に出そろうのは6月半ばではとのこと。そのころには供給量も増え、市場価格も落ち着くのではといった見方が強い。ただし当然、天候不順が再び起きると、供給や価格が安定するのはまだ先になる可能性もありそうです」(前同)

 飲食店関係者や家族の料理を作る人がやきもきする日は、もう少し続きそうだ。