炒め物や煮込み料理、さらには千切りにして料理のつけ合わせにまで――。

 さまざまな形で食卓を彩るキャベツ。スーパーマーケットなどでも1玉200円ほどで購入することができることから、家庭の味方でもあったキャベツ。そんなキャベツの価格に今、異変が起きている。

「天候不良の影響からか、キャベツ収穫量全国1位を誇る群馬県でキャベツの出荷が例年よりも遅れています。それで連日、価格の高騰が続いており、農水省が5月21日に公表した小売価格調査では、13日の週(13日~15日)は1キロ375円。これは昨年同時期の184円と比べると倍で、過去5年の最高値を更新。平年(過去5か年平均)比1.8倍という高価格をマークしています。都内では1000円超えの価格で販売するスーパーもあり、キャベツの価格高騰が止まりません」(全国紙経済部記者)

 こうなるとオフィス街で働くサラリーマンが気になるのは、ランチ時にふらりと立ち寄りたいキャベツをたくさん使うお好み焼き店や、キャベツおかわり無料サービスを提供しているとんかつ店が受ける影響だろう。連日さまざまな報道で、キャベツを使った料理を提供する食事処の店主による悲鳴が報じられているが、より大量にキャベツを消費するチェーン店の台所事情に変化はないのか。

 1973年創業、国内におよそ60店舗を展開するお好み焼き専門店『千房』を運営する千房株式会社の商品企画担当者が、弊サイトの取材に答えてくれた。

 担当者によれば、まず千房では1つのお好み焼きを作るのに必要なキャベツの量は100グラムほど。千房のお好み焼きの3分の1がキャベツだといい、まさにお好み焼きの主たる材料だという。

「1つのキャベツから作れるお好み焼きは10~15個ぐらいでしょうか。1か月に千房が仕入れるキャベツの量は16トンほど、個数で表すと1万玉ですね。収穫の時期が異なるので全国のキャベツを使用していますが、仕入数が多いのは群馬産のキャベツです」(『千房』商品企画担当者)

 価格高騰の今、仕入れに影響はないのか。

「キャベツの仕入れは年間契約で、今のところ協力していただいている野菜業者さんから値上げの連絡は来ていない状況です。そのため、店頭で販売しているお好み焼きの価格へと影響を与えることはありません」(前同)