■赤楚衛二『Re:リベンジ』との共通点

「“街の人たちのため”という動機で犯罪を重ねている正義ですが、どうして街の人たちのために動くのか、その理由がぼんやりしているため、まったく思い入れができない状態なんです。正義の過去など、人となりが説明されていれば応援する気になれるのですが、それらはほぼなし。これは明らかに脚本・演出の責任でしょう」(ドラマライター/ヤマカワ)

 同局系で昨年10月期に放送した連続ドラマ『セクシー田中さん』の原作者、芦原妃名子さんが急逝した影響もあり、当初予定していた『セクシー田中さん』と同じ小学館のコミックが原作のドラマが見送りになったことから、本作は突貫工事で制作が進められた。そのため、しっかりした設定作りなどに手がまわらなかったのだろう。

「主人公に思い入れできないという点では、『Re:リベンジ』も同じです。大病院内の権力争いを描くのが優先され、主人公が復讐する動機の描写が薄いんです。そのため、言動がどれも身勝手に見えてしまい、視聴者に嫌われ始めている。主人公に思い入れできないドラマがどうなるかは、ともに低迷している視聴率を見れば明らかです」(前同、ヤマカワ)

 GP帯のドラマとしては異例の厳しい数字となった『街並み照らすヤツら』ほどではないが、『Re:リベンジ』は世帯4%台をウロウロしている状態で、フジテレビ系の“木10ドラマ枠”としては厳しい数字だ。春ドラマの中で低迷しているこの2作、問題点は共通しているようだ。

 放送スタートが遅かったこともあり、6月1日放送回でまだ6話。正義(森本)と荒木(浜野)が放火の疑いで警察に捕まり、第2章「地獄編」に突入するらしく、新たな展開が予想される。心機一転となるか、今後の巻き返しに期待したい。