外国人旅行客が日本を訪れるインバウンドで、各地は大混雑し、レストランやホテルは値上げを敢行。地元グルメや温泉は縁遠くなってしまった――。そこで注目したのは、宿泊代もいらない、手軽に旅行気分が味わえる“道の駅”だ。今回は、全国の道の駅の“グルメ”を大調査。

 まずは、昨年に道の駅の全国制覇を達成した、道の駅キュレーターの守屋之克氏が厳選した、5つのグルメを紹介しよう。

 1つ目は、『あぶらげ焼き』(新潟県・道の駅R290とちお=450円)。長岡市栃尾地域の方言で、油揚げを指す“あぶらげ”。そのおいしさは全国にとどろき、今では、あぶらげを目当てに栃尾を訪れる人も多い。

 町中にも提供店はあるが、道の駅の売店で食べるのがオススメだと守屋氏は言う。

「揚げたて熱々のあぶらげは、町中の商品に負けず劣らずの逸品です。ステーキのように厚く、長さ約20センチと巨大で、外はカリッと、中はジューシーという唯一無二の食感が味わえます。おすすめはネギ付き。薬味に、たっぷりのネギに、かつおぶしが乗っていて、和の風味でペロッと食べられるのも、嬉しいですね」(守屋氏)

 ちなみに、新潟県には道の駅発祥の地があるという。

「諸説ありますが、その中の一つが、1993年正式登録された、ジャンボ狐そばが有名な新潟県の『道の駅 豊栄』です。全国初の一般国道に設置されたパーキングエリア『豊栄パーキングエリア』を改装したという背景から発祥地を名乗っています」(夕刊紙記者)

 道の駅発祥の地で、アツアツグルメを楽しもう。

■「室蘭やきとり」は鶏肉ではなく豚肉を使う

 2つ目は、『串こんにゃく』(奈良県・道の駅吉野路黒滝=100円)。こんにゃくといえば、山形県の玉こんにゃくが有名だが、仏教の精進料理が根付いた奈良県でも、隠れた名物として親しまれているんだとか。

「地元のお母さんたちの手作りこんにゃくを串に刺して、大鍋で煮込んだ一品。弾力を通り越した、ザクッザクッという歯応えで、食べ応え抜群でした。ピリ辛のしょうゆダレが染みた、濃いめの味付けが、ドライブで疲れた体を癒やしてくれます」(前出の守屋氏)

 3つ目は、『室蘭やきとり』(北海道・道の駅みたら室蘭=190円)。

「室蘭のやきとりは、鶏肉ではなく豚肉を使うのが特徴で、豚肉の間にタマネギを刺し、甘いタレで焼き上げて、お好みでマスタードを付けて食べると美味。元は製鉄の町・室蘭のソウルフードでしたが、今や、“日本7大やきとり”に数えられるほど人気になりました」(前出の夕刊紙記者)

 そんな名物が、道の駅で、気軽に食べられるというのだから、非常にお得。

「単品はもちろん、やきとり丼や、室蘭のご当地グルメ“カレーラーメン”とセットになった定食スタイルでも楽しめます。また、道の駅みたら室蘭は海に面した、東日本最大の吊り橋『白鳥大橋』を望む絶景ポイントにあるので、それらを眺めながら食べると格別ですよ」(守屋氏)

 一方で、絶景の山々と合わせて楽しめるのが、4つ目の『ひるぜん焼そば』(岡山県・道の駅風の家=640円)。

「B級グルメの祭典『B-1』で脚光を浴びた、ニンニクがきいた濃厚なみそダレと、蒜山(ひるぜん)高原のキャベツなどを使った、スタミナ満点のご当地やきそばです。道の駅風の家は、高原のリゾート地にあり、夏には気持ち良い山の風が吹き込んできます。やきそばがよりおいしく感じるんですが、ビールも欲しくなってしまうので、ドライバーは我慢してください(笑)」(前同)