■悪いやつにハマれなかった赤楚衛二

「そもそも、海斗の闇落ちに説得力がないんです。自分の権力に酔いしれての闇落ちなら分かりますが、現状、会長の天堂に頭を押さえつけられているわけですから、保身のために悪事を働いているだけの小悪党ぶり。隠蔽、パワハラと、視聴者に嫌われる振る舞いばかりで、これでは視聴者が大友に思い入れしてしまうのも当然です」(ドラマライター/ヤマカワ)

 なぜにここまで視聴者に嫌われる主人公になってしまったのかーー?

「もともとは好青年の役が多い赤楚の新境地として、“悪いやつ”をやらせてみたいという、制作側の思惑があったのでしょう。ただ、闇落ちも仕方無しと思えるような、複雑な事情が描かれていない。父親の仇をとるという設定はありましたが、それは第3話ですでに解決済みで、中盤以降はただの傍若無人な主人公になってしまった。このままいくのなら制作側の落ち度ですよね。赤楚は頑張っているだけにもったいない」(前同)

 ダークな弁護士が有罪確実な裁判でも無罪を勝ち取る、長谷川博己(47)主演の『アンチヒーロー』(TBS系)は、今期の民放ドラマで唯一、平均世帯視聴率2ケタをキープして好調だ。本作もダークヒーローとして、もっと違う海斗の描き方をしていれば、赤楚の評価も、4%台で低迷している視聴率も、もっと良かったかもしれない。

 第9話は、海斗が隠蔽と嘘を重ねて、闇落ちがさらに深くなりそうだ。はたして、海斗の闇からの帰還はあるのか? 今後の展開に注目したい。