■『9ボーダー』と『366日』は合わせ鏡

「おそらく、今期放送中で“記憶喪失かぶり”している月9ドラマ『366日』(フジテレビ系)の影響が大きいです。『366日』は遥斗(眞栄田郷敦/24)が記憶を失くす以前の描写をやたら流し、お互いを苦しめないために別れてしまった前カノ、主人公・明日香(広瀬アリス/29)の切なさをメインに描いてきました。

 一方で『9ボーダー』は、今カノの七苗(川口)の恋心をメインに描かれていますが、『366日』も見ている視聴者は、『366日』の前カノ、明日香の気持ちがしみこんでいるので、『9ボーダー』の前カノである婚約者・百合子(大政)の描かれていない切なさも分かってしまう。そのため、今カノの七苗に思い入れしにくくなっているんです。まるで合わせ鏡のような2作でしたが、その影響は大きいと思います」(ドラマライター/ヤマカワ)

 そうなると、どちらとくっついても、視聴者は釈然としないかもしれないがーー。

「もし『366日』がなかったら見え方も変わり、七苗を応援する気持ちになれたかもしれません。平均世帯視聴率も5.0%前後を行き来するレベルに低迷しており(ビデオリサーチ調べ/関東地区)、偶然とはいえ、“記憶喪失かぶり”が『9ボーダー』に与えた影響は、思った以上に大きいのではないでしょうか」(前同)

 本作は、ボーダー(各年代の“大台”を迎える前のラストイヤー)を越えて、自分の生きる道を模索していくのがメインテーマ。七苗がコウタロウとすっきり別れて強く生きていくというラストなら、視聴者も納得するだろうか。どんな結末を迎えるのか注目したい。