■実は子どもには不要なサングラス

──サングラスには、UVカット以外の効果もありますか。

「光が目に入ってくるときには、単に目玉が上下左右するといったこととは “別の動き”、瞳が閉じたり開いたりするような動きが激しくなってきます。そういうときにサングラスをかけることによって、こうした動きが少し抑えられたり目の緊張もとってくれるので、目の疲れといったものも低減されると思いますね」

──それでも、日本でサングラスは、かつての不良のようなガラの良くないようなイメージもあって、なかなか浸透していないですよね。サングラスに対するイメージの転換が必要になってきますね。

「良くないイメージ以外にも、日本でサングラスの文化が根付かない理由があると思われます。それは、日本人のノンバーバル(非言語)なコミュニケーションが関係しています。つまり言葉以外でのコミュニケーションの主役が、日本では目なんですよね。欧米の方に比べて、日本人は目でコミュニケーションを取る。

“目は口ほどに物を言う”とか“目は心の窓”といった言葉も多いように、目が大きい役割を果たしている文化なんです。コロナのとき、欧米の方はすぐにマスクを外しましたよね。彼らは口元が見えないとコミュニケーションがうまくいかない。目だけでは、うまくコミュニケーションが取れない国民性があるんだろうと思われます。

 その一方、私たちは口元が少々見えなくても、目でコミュニケーションを取れる。そういう能力を持った民族なんだろうと思われますね。そこに目が見えないサングラスをかけると、なかなか受け入れがたいというところがあるんじゃないかと思われます」

──子どもたちもサングラスで目を保護したほうがいいんでしょうか。

「子どもの場合、目の成長・発育にブルーライトが非常に重要だということがわかってきていまして、この成長段階でブルーライトカットのレンズは使用しないほうがいいんじゃないか、というのが一般的になってきています」

──ブルーライトは目に悪いものだと思っていました。

「そうなんですよね。一時は悪者扱いされてブルーライトカットが流行っていましたが、子どもの目の成長には大事な光なんです。ブルーといっても紫に近い色ですね。あと最近は赤色も目の成長にとっては重要なものだといった認識も出てきています。

 子どもの目の成長には幅広い波長の光が必要だということですので、子どもの目の成長が落ち着く15歳から18歳ぐらいまではサングラスは積極的に使用しないほうがいいんじゃないかと考えられています」

──子どもがゲームやスマホ、タブレットなどを使用するときにはブルーライトカットのメガネを使わせていた親も多いと思うのですが、それも必要がないのでしょうか。

「そうですね。ないほうがいいです」

 子どもの目の成長のためには必要はないというサングラスだが、大人の目のためには積極的に使用するのが良さそうだ。