■リクエストが多くても「唐揚げ弁当」は作らなかった理由

 そんな『だけ弁当』の人気を現在まで支えるのが、開発担当者がこだわった「低価格」と“あえて一品だけをガッツリ堪能する”というコンセプトであることは明白だが、これまで最も人気だったのは不動の『ウインナー弁当』。

 商品の入れ替わりが激しいコンビニ商品の中でも売れ続け、株式会社ローソンストア100の広報担当者に話を聞いたところによると24年5月末時点で累計236万食の売上だというから、実に全11種の累計販売数558万食のうち4割を占める。

 そして、6月26日から発売された『焼そば弁当』は、HPでおかずの要望を募ったなかから採用されたもの。数多く寄せられたであろう要望のなかからなぜ、『焼そば』をチョイスしたのか。前出・広報担当者は、弊サイトの取材に「『だけ弁当』のコンセプトにあっているかどうかで選定しております」と話す。

「実は要望の中で一番多かったメニューは唐揚げでしたが、唐揚げが主役のお弁当は他社にもあります。『だけ弁当』は、“普段は脇役のものを主役に”がテーマ。それを主軸に、“ありそうで他にないもの”という視点で考えたときに、今回は焼そばにしました」(広報担当者)

『だけ弁当』シリーズ発案者である前出の林氏と『だけ弁当』の商品開発を担当した山田克徳氏はどちらも関西地域に赴任経験があり、“焼そば+ご飯”が定食となった関西地域特有の焼きそば定食文化に触れた経験もあったことから、リクエストに応えたいという想いで開発したとのこと。

 焼そばは、神戸市の老舗ソースメーカー『オリバーソース』のそばめし用ソースを使用。ご飯と焼そばを混ぜて食べてもおいしいバランスを実現した。そんな『焼きそば弁当』最大のこだわりは「天かす」だという。

「天かすを入れることによって、アクセントになるだけでなくお弁当を温めた際、油が焼そばと絡まりコクが増します」(前同)

 焼そばには欠かせないあおさや紅しょうがもトッピング。味を追求しつつも価格は200円台を死守したという。

「パッケージは極力簡素化し、バラン(ご飯とおかずの仕切り)も使っていません。極限までコストを削減して、味にこだわりながらも248円(税込)という価格を実現しています。

 小ぶりサイズなので、お惣菜やサラダ、デザート、麺類などと合わせて、ランチや軽食、夜食など、その時の気分やシーンによってお楽しみいただける設計になっております。焼そばが濃厚すぎると感じたらサラダやスープ、温泉卵をのせるなど、いろいろなものと合わせて無限に楽しめるのが、『だけ弁当』の特長です」(同)

 ウインナー弁当よりも30円ほど高くなったとはいえ、物価高が叫ばれるなかでありがたい200円台のお弁当。そのままで食べるのはもちろん、トッピングや他の惣菜との組み合わせを考えるのも楽しいひとときをもらたしてくれそうだ。