■ゆるくともだれない巧みさ

 道長の一条天皇をめぐる心労や、まひろの結婚による動揺が描かれたが、それ以外は貴族たちの権力争いなどで、歴史的な大きい事件もなく、“ゆるめ”な展開となった今回。視聴率は1ケタ目前だが、このまま数字を落とすのだろうかーー。

「従来の大河のように、合戦など、ヤマ場をどんどん作るのと違い、優雅というかゆるめな進行が特徴の本作。ただ、ゆるいとはいっても、ちゃんと登場人物の心情や立場の変化を細かく描いていて、ハマると離れられない面白さがあります。ファンにとって、そこが魅力になっているので、これ以上、視聴率が落ちることはないでしょう。

 今回で言えば、若きキレモノだった道長が、中間管理職のツラさをにじませたり、定子を愛おしむあまりの一条天皇の堕落ぶり、左遷先から戻った隆家(竜星涼/31)の台頭などが、ちゃんと解像度高く描かれていた。事件はなくとも十分にドラマチックで、このクオリティを維持していれば、大崩れはそうそうしないはずです」(ドラマライター/ヤマカワ)

 次回は、まひろにとって大きな転換点となる、道長の娘・彰子(見上愛/23)の入内や、まひろと道長の偶然の再会など、ファンには見逃せない展開が見られそうだ。『源氏物語』にちなんだエピソードも随所に織り込まれ、静かながらも良作といえる『光る君へ』の今後に注目したい。