車道を走る車の横をスーッと音もなく通り抜けていく電動キックボード。レンタルサービスも普及し、街中で見かけない日はほとんどなくなったこの乗り物。気軽に中距離の移動ができるとして、若者を中心に高い注目を集めているようだ。それに匹敵する便利な“乗り物”が現在、市場には登場しているという。

「ずばり、電動スーツケースです。リチウムイオンバッテリーを搭載しており、最高時速10キロ台で走り回る。羽田空港や成田空港、関西国際空港などアジア圏からの旅行者が押し寄せるハブ空港では徐々にその姿を見かけるようになりました」(エンタメ誌ライター)

 しかし、この乗り物には大きな欠点があるという。

「電動スーツケースはあくまでも利用者が空港内を走ることを前提に作られていて、公道で走ることを想定していません。そんななか、6月26日、大阪市内の歩道を最高時速13キロの電動スーツケースで走行していたとして、30代の中国人留学生女性が全国で初めて書類送検されたことが判明しています」(前同)

 電動キックボードは公道を走ることができるにもかかわらず、電動スーツケースはなぜ、公道を走ることができないのか。『新・自転車“道交法”BOOK』(エイ出版社)などの著書があり、小型モビリティーに詳しい疋田智氏に話を聞いた。

「そもそも、書類送検された女性は電動スーツケースに乗って歩道を走っています。電動キックボードを使用する際も歩道を走る際は最高時速6キロまで。女性の電動スーツケースは最高時速13キロとのことですし、歩道を走ることがそもそも違法。仮に時速13キロものスピードで電動キックボードが歩道を走っていたとしたら同じように違法です」(疋田氏)