■ファンをうまく刺激

「結局は花江に恋愛感情はなく、猪爪家のエピソードは彼女のワンオペ問題の提起がメインになりました。それでも、興味を惹かれた人は多いようで、これが良い刺激になっていたようです。本作は第10週から新しい章に入り、今週あたり“中だるみ”が気になる時期でしたが、おかげで問題なく乗り越えられました。

 さらに、よね(土居志央梨/31)と轟(戸塚純貴/31)にバディを組ませたり、梅子を再登場させたり。前期放送『ブギウギ』のレコード会社が出てきて、福来スズ子(趣里/22)の存在を匂わせたうえで、コンサートに茨田りつ子登場と、朝ドラファンのツボを刺激するネタを連発。あざとさを感じるほどですが、視聴率が落ちないのはこれらの効果もあるでしょう」(ドラマライター/ヤマカワ)

 放送期間が半年と長い朝ドラは、どうしても刺激の少ない”中だるみ”の時期ができがちだ。そこで本作のように、小さくとも視聴者のツボを突くネタが投下されていることで、刺激的な内容になっているようだ。

 7月1日からは、寅子の恩師・穂高(小林薫/72)の退任がメインで描かれるようだが、次週予告で寅子が喪服を着ているシーンがあり、ひっょっとすると……ということもある。また、最高裁判所長官・星朋彦(平田満/70)の息子・航一として、岡田将生(34)が19年前期の朝ドラ『なつぞら』以来の登場となるようだ。寅子のモデルである三淵嘉子氏は、41歳のころに再婚しているがはたして? ファンを魅了するエピソードはまだまだ続きそうだ。

 平均世帯視聴率はここにきて17%台を連発しており、このまま好調を続けられれば、全話平均が17.1%の『カムカムエヴリバディ』を抜くヒット朝ドラになるかもしれない(すべてビデオリサーチ調べ/関東地区)。今後に注目だ。