■高齢者が新紙幣詐欺に引っかかりやすいワケ
新紙幣発行のタイミングで高齢者をターゲットにまん延する新紙幣詐欺。高齢者がこの手の詐欺にハマりやすい背景には自治体職員や金融機関職員といった社会的地位のある肩書きの人が“自分のためだけに特別なサービスをしてくれる”という点にあるようだ。
「コロナウイルスのワクチンは高齢者を中心に優先的に摂取ができた。紙幣発行は金銭に関わることだから、行政職員が高齢者へと優先的に新紙幣を手配するなんてあり得ない。だけど、普段から高齢者は優先的に一部のサービスを受けられるから“ラッキー”くらいの感覚で釣られてしまうんですね」(前出の小川氏)
これらの詐欺に引っかからないためにできることはあるのだろうか。
「まず覚えて置いて欲しいのは自治体の職員や銀行員が“新紙幣に両替します”とか“お札を交換します”といったサービスは行なっていないということ。特に新紙幣に切り替わるこの時期、見知らぬ人からのお金に関する電話は必ず、詐欺では、と疑ってほしいです」(前同)
家族の中でも詐欺の被害に遭うのを防ぐためにできる対策があると小川氏は付け加える。
「家族の中に高齢者がいる場合は“旧紙幣はこれからも使えるからね”、“最近、新紙幣に関する詐欺が増えているから気をつけてね”といった話をすることが大切ですね」(同)
“変化の時”を狙って横行する詐欺。くれぐれも騙されないようご注意を。
小川泰平
1961年愛媛県松山市生。神奈川県警での勤務を経て2009年12月に退職。現在はテレビ、雑誌、新聞などでコメンテーターとして幅広く活躍中。現場刑事の掟(イースト・プレス社)など