ジャパニーズウイスキーの価格が高騰を続けるなか、“偽物”を売って儲けようとする輩がいる――。

 7月2日、サントリーのウイスキー『山崎25年』など3本の偽物ウイスキーを質店へと売った50代の男が茨城県警に捕まった。男は今年2月に4本目の偽物ウイスキーを質店へと売ろうとしたところ、液体の色の薄さを不審に思った店長が買い取りを拒否。警察に相談したことから男性の罪が発覚したのである。

 そもそもなぜ今、ジャパニーズウイスキーが高額で取引されるようになったのかといえば、発端は2000年代にまでさかのぼる。

「ジャパニーズウイスキーは、イギリスの専門誌『ウイスキーマガジン』が01年に初開催した“ベスト・オブ・ザ・ベスト”で、総合1位をニッカウヰスキー『シングルカスク余市10年』、2位にサントリーの『響21年』と日本勢がワン・ツートップを占めたことから、一気に世界の注目を浴びることになりました。

 その後、『山崎』や『白州』、『響』、『竹鶴』などのウイスキーがインターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)やワールド・ウイスキー・アワード(WWA)といった国際的なコンペティションの常連に。一方で、長期熟成が必要なウイスキーの特性上、すぐには量産ができないことから希少性は高まり市場価値がうなぎのぼりになったのです」(グルメ誌ライター)

 酒買取専門店の老舗で、国内外のウイスキーも多数取り扱うJOYLAB(ジョイラボ)の担当者へに取材をしたところ、ジャパニーズウイスキーの価格が高騰するようになったのはここ10年ほどのことだという。

「15年に香港で開催された競売で、すでに生産を停止している軽井沢蒸留所の『軽井沢1960年』がジャパニーズウイスキーとして競売史上最高額の91万8750香港ドル(約1430万円)で落札されて以来、数千万円クラスの値がつくジャパニーズウイスキーも珍しくなくなりました」(JOYLABの担当者)

 実際、22年6月にはニューヨークの競売で『山崎55年』が60万ドル(当時のレートで約8100万円)で落札。翌23年には『軽井沢1960年』がロンドンの競売にて30万ポンド(同約5600万円)で落札されるなど、まるで高級不動産に引けを取らないような取引価格を記録している。