現在、これまでのホラーとはまったく違う恐怖感を味わえる「モキュメンタリーホラー」というジャンルが一代ムーブメントを起こしている。
モキュメンタリ―ホラーを長年研究、代表作に『禍あつめ』、『禍話』などがあるホラー作家のかぁなっき氏はこう語る。
「このジャンルを知らない人でも、‟最近流行ってる説明しない感じのホラーでしょ“って認識しているくらい、広がりを見せています」
「モキュメンタリーホラー」は、フィクションを本物のドキュメンタリーのように演出する表現の方法。疑似を意味する「モック」と「ドキュメンタリー」を合わせて、「モキュメンタリー」と呼ばれている。
古くは、1983年に日本で公開されたイタリア映画『食人族』や、1999年に一大ブームを巻き起こし、世界累計興収2億4800万ドル(現在のレートだと約390億円)を記録した『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』など、主にホラージャンルの一つとして人気を博した。
そして近年、YouTubeの人気ホラー番組『フェイクドキュメンタリーQ』に代表されるように、大きな盛り上がりを見せているのだ。
前出のホラー作家・かぁなっき氏はこう続ける。
「以前に、『フェイクドキュメンタリーQ』の監督陣とお話する機会がありまして、その時に、『Q』について‟説明回を作るつもりはない“説明がなくても伝わる怖さをやりたい”と仰ってましたね。
モキュメンタリ―ホラーという表現形式でメチャクチャ怖いものを作ってやろう、考察できなくても凄く忌まわしいものを見たぞと視聴者に思わせたら勝ち、というのが『Q』なんです。愉快犯ですね(笑)」