■雨穴氏、背筋氏…書籍のモキュメンタリーホラー界ではヒットメーカーが続々

 今夏には、前出の『フェイクドキュメンタリーQ』の書籍化が決定。帯の文言「読むと死にます」というワードには《怖すぎる》《〇〇で死ぬってありふれているでしょ》など、SNSも様々な声で盛り上がっている。

「僕もびっくりしました。この本読んだら死んじゃうって、日野日出志先生の『地獄の子守り唄』じゃないんだから。こんな挑発的なことが言えるんだって、感心しました(笑)」(前出のホラー作家・かぁなっき氏)

『フェイクドキュメンタリーQ』の書籍版は6月15日の情報解禁以来、異例のスピードでAmazonの予約販売で1位を記録するなど、発売前からすでに大きな話題をさらっている。

「メチャクチャ怖い」と評判の“動画”は、いったいどのように書籍化されるのか。

「『Q』の制作メンバーが書籍の編集にも携わり、行方不明や失踪がテーマの動画を中心に、新作も含めた全8点を一冊に収録した“呪われた短編集”に。書籍だけで明かされる続報や追加情報も掲載されるそうです」(文芸誌編集者)

 そんな今夏、大注目のモキュメンタリーホラー書籍では、これまでに、雨穴(うけつ)氏がWeb媒体であるオモコロやYouTubeで発表した『変な家』は、2021年に書籍化(飛鳥新社)され、続編と合わせて250万部を記録する大ヒット。続く『変な絵』(双葉社)も80万部のベストセラーで、現在、世界27か国での出版が予定されているという。

 また、2023年に小説投稿サイト「カクヨム」に掲載された背筋(せすじ)氏の『近畿地方のある場所について』も口コミで人気を博し、昨年、KADOKAWAで書籍化されて20万部を超えるヒットになるなど、書籍においてもモキュメンタリ―ホラー作品が軒並みベストセラーを叩き出している。

「上記いずれの作品にも共通しているのは、ミステリーの要素も散りばめられていること。しかもひとつひとつ、単体でとても怖くて、インパクトが強いんです」(前出のかぁなっき氏)

 この夏は、海を越え世界の人も震撼させる‟説明しすぎないホラー“から目が離せないようだ。

かぁなっき
カクヨム等でホラー作品を執筆する作家。怪談ツイキャス「禍話」の語り部を務めるなどホラーに精通。代表作は『禍あつめ』『禍話』など。