連日暑さが続き、夏真っ盛りといった日が続く日本列島。そんな真夏の日差しが降り注ぐ、7月半ばの第3月曜日に制定されているのは「海の日」。暑さが続くこの季節にぴったりな名前の祝日である海の日に東京都港区で開催され、全国の漁業関係者から熱い視線を注がれたのは、『漁師の仕事! まるごとイベント』である。

「長さ50メートル、重さ500トン級の漁船に乗って大西洋でマグロ漁に励む漁師さんもトークイベントには登場。引率の先生に引き連れられた制服姿の高校生も会場内では目立ちましたね。会場には北海道から沖縄まで様々な地域の漁業組合や水産会社が集まり、若者のリクルート活動に励んでいました」(水産業界関係者)

 自身も宮崎県内にある水産高校を卒業し3年目、現在は一等航海士としてマグロ漁船に乗り込む渡木桂祐さん(21)が弊サイトの取材に対し、勤務の実態を話してくれた。

イベントで登壇した渡木桂祐一等航海士(左) ※撮影/編集部

「静岡県にある清水港を出港し、1か月ほど太平洋を突っ走り、パナマ運河を渡って大西洋を船で2週間ほど進んだ先にあるアイルランド周辺の沖合で漁をします。マグロ漁船での勤務期間は10か月ですが、その内3か月は移動期間。実質的な勤務期間は7か月ほどですね」(渡木さん)

 だからといって7か月間ずっと海の上での生活を強いられるわけではないと、渡木一等航海士は話す。

「船の中にある冷凍室は300トンほど。クロマグロは300キロ超えの大きさの物も少なくありません。海の上に2〜3か月もいれば、冷凍室は一杯です。そうなれば荷下ろしをする必要がありますので港に寄って一休みです」(前同)

 港に寄った際に、漁師は何をして過ごすのだろうか。

「パナマやスペイン周辺の島国に寄った際には、カジノに行ったり、船員のインドネシア人を連れてレストランに行ってパエリアを食べたりします。今では船の上でもWi-Fiが使えますので、YouTubeを見たり、家族とLINE電話で通話をするのも当たり前のようにできますよ」(同)

 マグロ漁船での生活を「充実している」と話す、渡木一等航海士。実際に手にする年収もかなりの額になるという。

「年収は乗船した船のマグロの漁獲量にも左右されますが、私の1年目は額面で年収1030万円でした。もちろん、船の運航に必要な航海士の資格などを持っているかどうかや、乗船した船の漁獲量にも年収は左右されます。ただ、水産高校を卒業しておらず、無資格・未経験の人でも1年目から400万円~600万円以上の収入は見込めます。

 自然相手の商売なのでどうしても給与が不安定ではありますが、当たればデカい。しかけに魚が大量にかかれば、日付を跨いで長時間の引き上げ作業もありますし、肉体的には大変な仕事ですけどね。博打みたいな側面がある商売ですよ」(同)