■「18禁」の根拠とは……製造メーカーを直撃

 高校生が口にするや体調不良を訴えたポテトチップス。同社によれば、商品名にも冠してある『18禁』はなんと商標登録されているとのこと。磯山商事担当者は『18禁』シリーズの展開について、「社長が始めた」と振り返る。

「辛いものが好きな人に向けて『18禁カレー』を販売したら、人気だったので辛さも“元祖”“痛い”“超痛辛”“危険”など、どんどんラインナップが増えたという感じです。“18禁”として18歳以上を対象としているのは、やはり刺激物なので、小さい子どもには危ないという意図です」(担当者)

 つまり、『18禁』シリーズは酒やタバコのように年齢によって法的に禁止されている食品というわけではなく、あくまでも“目安”。警告を破ったとて、誰に何のお咎めを受けるわけでもない。なお18禁カレーチップスは塩味のチップスにパウダーをふりかけ、自分で辛さを調節するスタイルだ。

「辛さの感じ方は人によって違うので、パウダーの量を自分で調節していただいて。平気そうだったら少しずつ食べるというスタイルがいいかと思います」(前同)

 ちなみに磯山商事の担当者によれば、騒動を受けて注文が殺到しているのだとか。「キャンセルになったものもあるんですが、それを上回るご注文もいただいていまして……」という言葉を裏付けるかのように、参考価格1000円のこのカレーチップス、7月17日時点でAmazonでは倍の2280円と“プレミアム価格”状態となっている(7月17日時点)。

 では、実際問題として18歳未満は辛いものを食べないほうがいいのか。医学的根拠はあるのか。内科医の上昌広氏に見解を聞いた。

「特に医学的根拠を聞いたことはありません。ただし一般的に年齢を重ねるほど感受性は鈍くなり、味覚も同じ。子どもの方が大人よりも刺激に敏感なので辛さも感じやすく、注意を呼びかけられることはあるでしょう。わさびや唐辛子の苦さ、辛さが大人になって大丈夫になるのは、“鈍く”なるからです」(上医師)

 辛さの感じ方は個人差が大きいが、上医師によれば、辛いものを食べてお腹を壊すことは珍しくないのだという。

「カプサイシンなどの辛み成分による刺激で胃腸が炎症反応を引き起こし、お腹をこわしたり下痢になったりといった症状につながってしまいます。異変を感じたら無理して食べないことです」(前同)

 やはり、よく注意して食べることが大切なようだ。

上昌広
1968年生まれ。特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所理事長。医師。東京大学医学部卒。虎の門病院や国立がんセンター中央病院で臨床研究に従事。2005年東京大学医科学研究所で探索医療ヒューマンネットワークシステムを主宰。16年から現職。著書に『病院は東京から破綻する』(朝日新聞出版)など