全国各地で続々と梅雨明けとなり、いよいよ夏本番を迎えようとしている日本。悲鳴すら聞こえてきそうな“灼熱列島”だが、

「7月初旬、日本救急医学会は“超災害級の被害を及ぼす”と、熱中症への警戒を呼びかける異例の緊急提言を行ないました」(全国紙社会部記者)

『熱中症からいのちを守る』(評言社)などの著書もある済生会横浜市東部病院患者支援センター長の谷口英喜医師は、“実は屋内も危険”と警鐘を鳴らす。

「熱中症患者さんの約4割は屋内で具合が悪くなった方です。特に夜間の寝室で罹ったケースが多いと報告されています。寝るときは必ずエアコンをつけるべき。寒く感じたら、厚着をしましょう」(谷口医師)

 炎天下の屋外では警戒していても、室内などではその危機意識が薄れがち。そこで、“こんな場所でも熱中症に”の事例を紹介しよう。

■トイレ、お風呂、台所…自宅に潜むリスク

 まず、そもそもどのようなメカニズムで熱中症は発症するのだろう。

「熱中症は気温と湿度が高い状況で引き起こされます。室内で何もしなくても、そこが高温多湿の環境なら発症するのです。また、疲労や体温上昇、脱水などの要因が重なると、さらに危険性は高まります」(前同)

 先述の寝室のように、自宅内には、熱中症の可能性が多く潜んでいる。気象予報士で熱中症予防管理者・指導員でもある多胡安那(たご・あんな)氏に、具体例を挙げてもらった。

「家の中で湿気がこもりやすい、トイレ、お風呂、閉鎖された台所などには警戒が必要です。特に台所は立ち仕事をして体力を使うので、リスクは高まります。常に大量の鍋がグツグツとしているような飲食店の厨房なども注意が必要な環境ですね」(多胡氏)