常軌を逸した酷暑に、少し外を出歩くだけでもグッタリしてしまう。しかし、悲惨なのは車の中も同じこと。エアコンなしの場合、炎天下の車内では1時間で50℃、2時間で70℃以上に達することもあるという。

 そこで注意しないといけないのは、日用品の置き忘れ。想像を絶する“事故”が引き起こされる可能性があるというのだ。

 ロックバンド『SOPHIA』の松岡充(52)も2020年8月22日に愛車の「1968年型シボレーコルベットC3」が炎上。当時、所属事務所の関係者は「ハンドル付近のクーラーなどを搭載した部分から煙が上がったようだ」とのコメントを出している。

 夏に起こる車の炎上について、カーライフジャーナリストの渡辺陽一郎氏は、こう解説する。

「一番やりがちで、注意しなくてはならないのは、炭酸系ペットボトルの爆発でしょうね。砂糖が入ったジュースだと車内がベタベタになるし、オロナミンCのようなガラス瓶だと凶器と化す。爆発の衝撃で窓ガラスが破損するケースも想定できます」

 異様な暑さで膨張した炭酸水にペットボトルが耐えられなくなることで、恐ろしい事態に発展しかねないという。

■リチウム電池は高温になると発火、700℃の炎に

 炭酸ほど膨張率は高くないものの、水筒やペットボトル内の水やお茶も爆発の恐れはあるという。

「それからペットボトルには“虫メガネ効果”があり、小学校の理科で習ったように光を集める性質があるんですね。その結果、火事を起こす恐れもある。これは車に限った話ではないものの、異常に温度が高い環境だと危険性が増すのは説明するまでもありません」(前同)

 さらに恐ろしいのはスマートフォン、タブレット、ノートパソコン、ゲーム機などの精密機器。最近はモバイルバッテリーによる被害も増加傾向にある。

「壊れて使えなくなるくらいならまだマシで、大事故につながるのだから極めて厄介。こうした機械に内蔵されているリチウムイオン電池は高温になると発火し、700℃の炎で周りのものを片っ端から燃やしていく。文字通り、“火の車”となるのです」(同)