現代の子どもたちは、昔の子どもたちとは大きく異なる夏休みを過ごしているという。特に小学校においての「昭和の夏休み」と「令和の夏休み」には想像以上の変化があるのだ。
まず、夏休み期間にも大きな違いがある。昭和期から地域差はあったものの、令和ではそれがさらに顕著になっているという。
「昔は“9月1日が始業式”が一般的でしたが、今は8月最終週から学校が再開する自治体もあります。これは、児童の学力アップを目指し授業時数を確保することが主な目的です」
こう語るのは、元教員でもある教育ライターの猪狩はな氏だ。
たとえば、令和の関東地方で、小中学校の夏休みが8月31日までなのは、なんと東京都と群馬県だけなのだ。
■“宿題廃止”の学校も登場
「昭和の夏休み」において、小学生にとって最大のミッションといえば“宿題”だった。
各科目のドリル、読書感想文、自由研究、絵日記など特盛級の宿題が課せられ、8月31日に徹夜で挑む……というのがぐうたら小学生のお約束。
「宿題の量は縮小傾向です。なかには“ナシ”にする自治体も出てきました」(前出の猪狩氏)
昭和世代にとっては夢のような夏休みだが、令和の小学生は決して毎日遊んでいるわけでもない。
「夏休みの小学生は、昔よりも忙しい場合が多いんです。習い事をたくさんしている子が増えたこと、中学受験のために毎日のように塾に通う子が増えたこと、共働きが増えたことで学童に行く子が増えていることが原因です。結果、長期休暇中の学習面は、家庭や塾などに委ねられるケースが増えるかたちになったということです」(前同)
特にコロナ禍により拍車がかかったのがオンライン化だ。
「紙のドリルではなく、タブレット端末を活用する宿題が出される傾向があるのも、昔とは大きく違った点でしょう」(同)
また、宿題は子どもたちが自分の興味や能力に応じて宿題を選択できるシステムが導入されている。自由研究のテーマも、環境問題、SDGs、地域の問題など社会的なものが増えている。