■“恋リア”ではなく「出演者の成長物語」
視聴者も出演者も傷つかない、新しい形の恋愛リアリティーショーである『ボーイフレンド』。本作が配信された背景には制作陣の意識改革も大きく影響しているのではないか、と前出の太田氏は指摘する。
「今作ではプロデュースとキャスティングを担当したモデルのTaikiさんもゲイであることを公言しています。その影響からか番組作りにあたっては出演者のことを尊重している演出が伺えました。
たとえば、“恋リア”では集団生活が主ですが、本作の出演者には個室が割り当てられています。また、出演者同士の恋愛模様を描くだけでなく、ゲイであることを周囲にどうカミングアウトしたのかにも焦点を当てていました。出演者の生き様や葛藤を番組を通して視聴者も理解することで、出演者を心から尊重することができるのです」(太田氏)
また、恋愛リアリティーショーではありがちな、出演者同士による恋愛シーンを無理には描かなかったことが功を奏したのではと、太田氏は指摘する。
「男の子同士の“恋リア”と銘打ってはいるものの、作品の実態は、出演者の“成長ドラマ”。確かにキスシーンなどの描写もあるのですが、決してイヤらしく描かれているわけではありません。恋愛模様と同じくらい集団生活を通じて、出演者が成長する姿が描かれていることで、視聴者は“出演者を応援しよう”という気持ちになるのだと思います」(前同)
ネトフリ発の新たな恋リアが、多くの共感を呼んでいるようだ。
太田まき子
新潟県出身。大学卒業後、広告会社及びマーケティング会社にて女性向け商材のプロモーション、ファッションカルチャーイベントの企画運営、エンタメ系の広報PRなどを担当。現在はフリーランスのPRとして、トレンドのマーケティングやリサーチを行う。