■炎天下での飲酒にはおつまみが効果大

「でも、ビアガーデンくらい行きたい……」という人は多くいるだろう。炎天下で酒を飲みつつ、熱中症リスクも下げたいという場合にはどうすればいいのか。前出の藤井氏は「余計な脱水を抑えること」が肝心だという。

「アルコール度数が高いほうが利尿作用も高いといわれているので、暑い夏に野外でお酒を飲む場合は度数の低いものを選んだほうが良いでしょう。また、お酒と一緒に塩分の含まれた塩辛いおつまみなどを食べていれば利尿作用も低くなります。塩分は水分を体にためようとするので、どうしても屋外で飲みたくて、かつ脱水リスクを下げたい人はしょっぱいものを一緒に摂取するとよいでしょう」(藤井氏)

 ただしアルコールによる体への影響は個人差が大きいため、「自衛」が大切になる。

「お酒を飲むと頻繁にトイレに行きたくなる人は、脱水のリスクが高いと思います。今はアルコール度数の低い“微アル”ドリンクも多いので、そうしたものをチョイスするなど、ある程度アルコール摂取量を控えることですね」(前同)

 また、屋外で気をつけたいのは“人が密集する”スポットだという。

「人が集まっている場所では暑く感じるものです。そうした“体感温度”は、天気予報では出てきません。ですから、予報の気温だけでなく、人が密集している場所は気象情報よりも気温や湿度が上がっている可能性は高いと思っておいたほうがいいかもしれません。

 あと、直射日光を浴びっぱなしも熱中症リスクを上げてしまいます。日傘をさす、折をみて日陰で休むなどしたほうが良いでしょう」(同)

 炎天下では、常に熱中症と隣合わせということは肝に銘じておきたい。

藤井直人
筑波大学 体育系 助教。博士(学術)。専門分野は運動生理学。
1981年6月24日大阪府生まれ。筑波大学体育専門学群卒業。大学在学中は陸上競技部に所属。その経験を活かし、運動時の呼吸・循環・体温調節に関する運動生理学的研究を数多く行っている。さらに筑波大学体育系の特色を活かし、競技パフォーマンス向上のためのスポーツ科学研究も進めている。著書に『ランナーのカラダのなか 運動生理学が教える弱点克服のヒント』(小学館)