■好感度は低いのに…「なぜこの人がテレビに?」のからくり
番組の中心となるおじさんMCとのセットに、若い女性ではなく若い男性ではダメなのか。前出の鎮目氏いわく、「若い男性だとそちらに視聴者の人気が持っていかれてしまって、MCのおじさんを立てないといけない場合にやりにくい」のだという。つまり、キャスティングにおいて若い男性は視聴率狙い、若い女性は出演者のおじさんウケということだが――鎮目氏が続ける。
「基本的に、年齢問わず“なぜこの人がテレビに出ているの?”と疑問に思う女性がいたら、だいたい混ぜっ返し役で、おじさんに都合のいいタイプだと思って良いと思います。三浦瑠麗さん(43)なんかも、率直過ぎて苦手と思う視聴者もいるでしょうが、賢くてきれいな女性にズケズケ言われたいおじさん層には刺さるんですよ」
そうした番組の出演者に求められるのは、世間からの好感度ではなく、じゃじゃ馬ぐらいがちょうどいいというわけだ。しかしそうなると視聴者は置き去りにされ、“内輪ウケ”の番組づくりにはならないのか。
「実際そうなっているから、テレビ離れが起きているんですよね。ただフワちゃんの場合、さすがにキャスティング側としても遅刻や他の共演者への失礼が目に余るようになって、出演本数は激減しているようですが……」(前同)
2020年5月23日放送の『激レアさんを連れてきた。』(テレビ朝日系)では、ブレイク前のエピソードとして、「同じ仕事を10分と続けられない」「タメ口接客」などで10回連続バイトをクビになったことを明かしていたフワちゃん。最後のバイト先でも遅刻、お皿を割るなど“やらかし”続けるも、フワちゃんが謝る度に許してくれた店長に対し、「迷惑かけちゃったけど、心のなかでは恩返ししたいと思っていた」と感謝していたが、今、その店長はフワちゃんの言動をどう見ているのだろうか。
“おじさん番組”が生み出し、大きく成長させた“テレビ界のじゃじゃ馬”は今、そのテレビ界からの退場の危機にある。
鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)