■沸騰の『行方不明展』の映像監督が手掛ける『フェイクドキュメンタリーQ』
話題沸騰中の前述の『行方不明展』の展示映像監督は、大人気YouTubeチャンネル『フェイクドキュメンタリーQ』を手掛ける寺内康太郎氏。
『フェイクドキュメンタリーQ』といえば、日本各地から寄せられた“いわくつき”の恐怖映像や、お蔵入りになったテレビ番組の取材映像などを「再編集しているという」設定で、多くのそうした動画が配信されている。
その、登録者数約30万人という人気チャンネル『フェイクドキュメンタリーQ』からの初の書籍『フェイクドキュメンタリーQ』が、7月25日に刊行された。
謎多いチャンネルの書籍化について、代表作に『禍あつめ』、『禍話』などがあるホラー作家のかぁなっき氏はこう語る。
「同書には複数のエピソードが盛り込まれているのですが、ぶっちゃけ、どれも水準以上でした。特に新作以外の作品は一歩間違えると不要な付け足しになるところを、書籍という媒体の強みを活かした、動画とは異なる不気味さの追求に成功している印象でした」
『フェイクドキュメンタリーQ』は、動画を観た者同士で互いの考察を披露し合うのも醍醐味のひとつだという。書籍版でも考察ファンにとって嬉しい要素が散りばめられているようだ。
「書籍の各所に散りばめられた12個の、“恐怖の扉”とも言えるQRコードを読み取り、考察をするという楽しみ方ができるんです。YouTubeチャンネルのファンにとっても、動画を見るだけでは得られないヒントが入手できるのではないでしょうか」(文芸誌編集者)
考察がSNSでも沸騰し、書籍は発売後即重版。早くも累計5万5000部のヒットとなっているというが、前出のホラー作家・かぁなっき氏は、
「個人的に一番怖かったのは冒頭を飾る『エピソード1』。最後に出てくるビデオをうず高く積まれた遺影を見た時に“見てはいけないものを見た……”と感じましたね」
不気味な『行方不明展』に行き、不気味な動画を観て、不気味な本を読む――暑すぎる今夏は、不気味な世界に浸るものいいのかもしれない――。
かぁなっき
カクヨム等でホラー作品を執筆する作家。怪談ツイキャス「禍話」の語り部を務めるなどホラーに精通。代表作は『禍あつめ』『禍話』など。