日本の国民食としてすっかり定着したばかりか、近年は外国人観光客からも大人気となっているラーメン。

 マーケティングリサーチ会社の富士経済によると、2023年の国内ラーメン市場は前年比7%増の4385億円と好調だ。全国紙経済部記者が解説する。

「ラーメン業界は、大手チェーンのシェアが他業態に比べてかなり低く、個人店や小規模チェーンの数が圧倒的に多い。設備投資が比較的安価なこともあり開業も多く、店舗数は23年の時点でコロナ禍以前を上回る数にまで膨らんでいる。そのぶん競争は熾烈で、閉店・廃業も多いわけですが……」

 牛丼チェーン・吉野家を展開する吉野家ホールディングスがラーメン店向けに麺やスープなどを製造する宝産業を買収するなど、大手飲食チェーンをめぐる動きなどの話題も事欠かない中、巷では今、“ネオラーメン”なるものが注目を集めているという。トレンドライターが語る。

「東京・新宿御苑に23年にオープンした『Rahmen&Onigiri Eddie』という店のラーメンが新感覚だと話題なんです。普通のラーメン店とは全く異なる一品を求めて、多くの女性が列をなしているんです。

『チーズそぼろまぜそば』(1100円、税込み/以下同)や『バーニャカウダつけ麺』(1280円)といった個性的なメニューが並びますが、特に今年2月から提供が始まったという、マグカップで提供されクリーミーな泡がたっぷり乗った『カプチーノラーメン』(1380円)が、その見た目のインパクトからSNSで反響を呼んでいます」

 パッと見はまさに大きなカプチーノで、とてもラーメンには見えない。年間600杯、全国47都道府県のラーメンを食べ歩き、テレビ朝日系『羽鳥慎一モーニングショー』などにも出演した経験があるラーメンライターの井手隊長も、弊サイトの取材に対し「お店でマグカップでラーメンを食べたのは初めて」と驚く。

「麺はラーメンですが、スープはイタリアンのような洋風で、それをマグカップで食べるから不思議な感覚になりました。

 いまラーメン業界全体は新しいものが出尽くしたような時期で、むしろ“ネオノス”系が流行中。これはネオノスタルジックの略で、昭和の中華そばのような見た目ながら、味は今風に進化しているというもの。昭和レトロや町中華のブームがあったようにノスタルジーのあるものがラーメン界隈でも人気になっているわけですが、この『カプチーノラーメン』はまったくの新感覚で、びっくりしましたね」(井手氏)