■この10年注目を集めていた“泡系”ラーメンの終着点

「新しさ」よりも「懐かしさ」がトレンドとなっているラーメン業界に新風を吹かせた『カプチーノラーメン』。しかし、そのアイデアの源流とみられるものはここ10年、注目を集めていたという。前出の井手氏が語る。

「これは“泡系”ラーメンの終着点という印象もありましたね。以前からあった豚骨スープの表面が泡立っているラーメンが“泡系”と呼ばれるようになり、その後、福岡の『博多一双』の泡系ラーメンが『豚骨カプチーノ』と呼ばれるように。また、関西でもブレンダーなどでスープを泡立てたラーメンが人気になり、“泡系”は注目を集めているんです。『カプチーノラーメン』は一双の豚骨カプチーノにインスパイアされたのかもしれません」(井手氏)

 同時に、『カプチーノラーメン』は関西の“泡系”とも近い部分があるのだとか。

「『カプチーノラーメン』は味わいの面では、どちらかというと関西で流行っている“泡系”に近いですね。トリュフとポルチーニ茸のスープで、まろやかでクリーミーな味わい。下のほうのスープはサラっとしているし、全体的にそんなに重くないので、女性客が圧倒的に多いというのも納得です」(前同)

 ふわふわのメレンゲをたっぷり乗せたマグカップで提供するというカプチーノ風スタイルも、見た目のインパクトだけでなく、計算され尽くしていると井手氏は指摘する。

「チャーシューのような、ラーメンに付きものの具材が入っていないですが、普通のラーメンなら“ありえない”と思うところ、これはスープパスタに近いので、チャーシューがなくてもさほど違和感がないんです。

 また、これが普通のラーメン丼で提供されたらコスト的にかなり厳しいのでは。マグカップでの提供にすることで、トリュフとポルチーニのスープ量が丼より少なくて済む。うまく考えられたメニューだなと思いました」(同)

洒落た外観の『Rahmen&Onigiri Eddie』は女性客が多い ※撮影/編集部

 オシャレな外観や内装からして、ターゲットとしているのはラーメン通というより、女性や外国人観光客だとみられる『Rahmen&Onigiri Eddie』。同店が仕掛けた“ネオラーメン”は新たな潮流となってラーメン市場をさらに広げていくだろうか。

井手隊長
全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。Yahoo!ニュース、東洋経済オンライン、AERA dot.など年間100本以上の記事を執筆。その他、テレビ番組出演・監修、イベントMCなどで活躍中。ミュージシャンとしてはサザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」などで活動中。著書に『できる人だけが知っている 「ここだけの話」を聞く技術』(秀和システム)。