■今作のMVPは津田健次郎
三角関係になっても、おなじみの“ほんわか”した雰囲気なのは、原作通りといえばそのとおりだが、この空気は津田の好演によるところが大きいだろう。
横井は、色気バリバリのイケメンながら、嫌味なところをひとつも感じさせず、誠実で人の気持ちに寄り添え、「無料お試しサンプルおじさん」など言葉のチョイスも絶妙。“偽家族”、“仮彼氏”を受け入れるのは普通に考えたら不自然だが、横井なら「あるなぁ」と思わせてしまう津田の演技はさすがだ。
また、同じシングルファザーものの、目黒蓮(27)主演の『海のはじまり』と比べられことが多いが、あちらは苦しむ人たちの姿を延々と描き続け、本作とはまさしく対照的。全く違うタイプの作品なので、どちらも見ているという人は多いのではないだろうか。
その『海のはじまり』は、目黒の体調不良で第9話を1週延期して特別編が放送される。終盤にきての放送延期は、1週といえど盛り上がりに水をさすことになるだろう。平均世帯視聴率が7.4%(19日放送・第8話)、TVerのお気に入り登録数が191.1万(27日19時現在)と、『海のはじまり』が上回っているが、視聴率では本作が逆転するかもしれない。
次回は、亡き妻・瑠衣(松井愛莉/27)について、新たな事実が明かされそうで、それによって、西園寺さんへの恋心に気づいてしまった楠見が、一歩踏み出すことになるかもしれない。誰もが優しくて、嫌な人が一切出てこない本作だからこそ、すべての人が幸せになる結末に期待したい。(ドラマライター/ヤマカワ)