大盛り上がりだったパリ五輪では、射撃混合エアピストルで銀メダルを獲得したトルコ代表のユスフ・ディケッチさん(51)がその簡素な格好から“無課金おじさん”として注目の的となったが、アニメ界でもおじさんが活躍する作品が続いている。
8月24日、コミカライズもされている小説『アラフォー男の異世界通販生活』(SBクリエイティブ)が2025年にアニメ化されることが発表されたが、7月からテレビ東京系で放送中なのは『新米オッサン冒険者、最強パーティに死ぬほど鍛えられて無敵になる。』 (原作・ホビージャパン)。
今後アニメ化される”おじさん主人公”の作品例には『悪役令嬢転生おじさん』(25年1月~TBS系・原作・少年画報社)、『片田舎のおっさん、剣聖になる』(25年4月~テレビ朝日系・原作・スクウェア・エニックス)などもある。
おじさんが主人公である作品自体は珍しくないが、こうした“能力系”おじさんのアニメジャンルを一気に切り開いたパイオニアは『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』(KADOKAWA)だろう。
「無職・ニートの34歳男性が剣と魔法の異世界に転生し、新たな人生に本気で挑む物語です。12年から小説投稿サイト『小説家になろう』で連載がスタートすると小説はもちろん漫画、ゲームなどでも人気を博し、初めてTOKYO MXでアニメ化されたのは21年のこと。今年2期が放送終了し、3期の制作も決定しています」(制作会社スタッフ)
続々と登場するおじさんアニメに、X上でも《おっさんアニメ多いな》《何気に今、アニメ界はおっさんブーム到来中?》として、“おじさん(おっさん)ブーム”であることがしばしば話題にのぼるが、なぜ、おじさんアニメが元気なのか。 アニメ関連の講師やライターとして活動するいしじまえいわ氏に見解を聞いた。
まず、いしじまえいわ氏はおじさんが主人公となるアニメが多く制作される理由に、アニメ視聴層の変化をあげる。
「00年代に入って以降、TVアニメを大人が見ても良いというムードが徐々に一般化してきました。それ以前は、TVアニメは基本的に子どもが見るものという社会通念があったため、主人公は子どもか、子どもが憧れるようなキャラクターがメイン。
そもそも、主人公は視聴者の憧れや共感を喚起する設定となっている場合が多いですが、視聴者層が広がったことで、大人が共感、あるいは自己投影できるおじさんに光が当たる作品が現れたのではないかと思います」(いしじまえいわ氏)