■被害のピークはむしろこれから
むしろ、被害はこれからがピークになるというのだ。
他にも、外来種の昆虫が日本に定着し被害をもたらしているケースも見受けられる。前出の『株式会社野生態系Holmes』代表の西村氏がこう言う。
「外来種の被害で代表的なのがクビアカツヤカミキリや、ツヤハダゴマダラカミキリなどで、桜の木や果樹園の木を枯らしてしまい、大きな被害が出ています」
特定外来種として指定するだけでなく、発見・駆除に懸賞金をかける市町村もあるほど被害は深刻だという。
「また外来種の進入経路はさまざまですが、最近は日本の物流が増えた影響により、船で運ばれてきた荷物に虫がついていて、そこからあっと言う間に日本に定着してしまうケースも多い。ヒアリの事例はニュース等でお聞きになられたことがある方も多いかと思います」(前同)
ヒアリは2017年に日本で初めて発見され、人やペットが刺されて健康被害が起きることもあった。
変わりゆく環境で、日本の原風景ともいえる在来種にも影響が。
「昔は、水田にいけばどこにでも見かけた、赤とんぼとも呼ばれているアキアカネが、現在では各地で減少しています。絶滅危惧種に指定している県もあるほどです」(同)
なぜこのような変化が起きてしまったのか。その原因は、地球の温暖化にあるようだ。
今年の夏のような、連日35度を超える「異次元な暑さ」もそれに拍車をかけていると思われる。西村氏が続ける。
「もともとその地域にいた在来種が減っていて、現状の暑さが続く環境に適している虫が増えている印象です。以前は多様な昆虫が採集できました。近年は、同じような虫が取れることが多く生態系が単一化していっている印象です。より多くの方に、広く現状を認知していただければと思います」
虫は異変の前触れ。
人類は、温暖化という課題にさらに真剣に取り組む必要がありそうだ。